【七十二候から】26 「腐草蛍と為る」
【七十二候から】26
「腐草蛍と為る(ふそうほたるとなる)」
皆様、おはようございます。
ちょうどこの時期は、蛍を楽しむ季節ですね。
「蛍狩り」という言葉も風情がありますね。
浴衣に団扇を手に持ち、足元には下駄。
多くの舞踊でも、夏の風物詩としてこの風情を表現しています。
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腐った草が蛍に生まれ変わると、昔の人は信じたそうです。
死から生が生まれ、生が死を迎える、
そのサイクルの中で人も生かされていることを
生活の中で自然に感じていたのでしょう。
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子供の頃は、近くにたくさん蛍がいたのに、もうほとんど見かけなくなってしまいました。
夜になると、吊るした蚊帳の中に蛍を入れて、
ぼんやり灯る明かりを夢見心地で楽しんだりもしたものです・・・。
現代の東京では椿山荘の「ほたるの夕べ」が有名ですね。
ただ見に行って、そのまま帰ってくるもよし、
食事をするもよし。
たまにはちょっと贅沢に食事を楽しみながら、
幻想的な蛍の明かりをただただじっと眺めていたいものです。
夢かうつつか、うつつが夢か。
今を生きることに重ね合わせながら・・・。
【七十二候から】25 「蟷螂(かまきり)生ず」
【七十二候から】25
「蟷螂(かまきり)生ず」
皆様、おはようございます。
昨日は「芒種(ぼうしゅ)」、そして「蟷螂生ず 」日。
二十四節気の一つ「芒種」は、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く頃です。
稲の穂先にある針のような突起を「芒(のぎ)」というところからきています。
ちょうど季節はカマキリが生まれ出る頃。
カマキリは、育ち始めた稲や野菜の葉に手をつけずに、
害虫を捕まえてくれます。
人にとっては、田畑のヒーローです。
自然とはうまくしたものですね。
ちゃんバランスをとってくれています。
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京都の祇園祭では、
からくり仕掛けのカマキリを 乗せた「蟷螂山(とうろうやま)」、
別名「かまきり山」という山車があるそうですね。
祇園祭でカマキリは、神の能力を持つもの、神の使者として崇められています。
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カマキリがカマを振り上げて強いものに立ち向かう勇壮な姿は武勇伝にもなぞらえています。
南北朝時代の足利義詮と戦って死んだ四条隆資家では、
後に御所車にカマキリを乗せて巡行したということです。
これが 祇園祭の山車「蟷螂山(とうろうやま)」の始まりです。
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元々は、中国の春秋時代の故事「蟷螂の斧(とうろうのおの)」に由来しています。
斉の荘公が乗る馬車の前にカマキリが現れ、カマを振り上げて立ち向かってきたというのです。
荘公はその雄々しい姿に感動し、馬車でカマキリを踏まないように、
馬車を翻し違う道を通ったということです。
弱き者でも我が身を挺して全力で挑む姿に心打たれたのでしょう。
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皆様、今週もすべては完璧、大成就でありますように。
健やかにお過ごしくださいませ。
【七十二候から】24 「麦秋至る」
【七十二候から】24
「麦秋至る」
皆様、おはようございます。
麦が熟して収穫するのはこの季節なのですね。
「麦の秋」と呼ばれます。
麦畑は一面の黄金の色。
麦秋に吹き渡る風を「麦の秋風」とか「麦嵐」といい、
この頃に降る雨は「麦雨(ばくう)」というそうです。
学生は明日から夏服に「衣替え」ですね。
中学の頃、自転車に乗りながら、
近所の麦畑の風を感じながら通学したのを思い出します。
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麦畑はめっきり減ってしまいましたね。
郷里の麦畑の風景もなくなってしまいましたが、
いつも目には浮かぶものです・・。
「ふるさとは遠くにありて思ふもの・・・」
ふるさとの風景はいつも心の中で生き続けていますね。
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皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様の安寧とご無事をお祈りしております。
【七十二候から】23 「紅花栄う」
【七十二候から】23
「紅花栄う(べにばな さかう)」
皆様、おはようございます。
紅花が一面に咲く頃とされています。
紅花は山形の県花。
紅花は「見てよし、染めてよし、食べてよし」といわれます。
カルサミン(赤)とサフロールイエロー(黄)の二つの天然色素が美しい紅花染めを作ります。
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紅花は女性には馴染み深い口紅の染料でもありますね。
江戸時代には「紅一匁(もんめ)金一匁」といわれるほど、高価なものであったようです。
女性が鏡の前で薬指でそっと「紅を差す」なんて、
大和撫子の麗しい姿をイメージさせてくれます。
高価なものゆえ、
うきうきしながら、
紅を差した時のお顔がパッと輝く様子が目に浮かびますね。
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女性はいつもオシャレをして、輝いていたいものです。
雨の朝を迎えましたね。
皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
【七十二候から】22 「蚕起きて桑を食う」
【七十二候から】22
「蚕起きて桑を食う」
皆様、おはようございます。
今日は「小満」、そして
七十二候の第二十二候「蚕起きて桑を食う 」日。
「小満」は山海草木、日を浴びて輝きを増していく季節です。
蚕が食べる桑の木も緑を増して柔らかい葉が育ち、蚕がそれをお腹いっぱい食べて育つ頃ですね。
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「お蚕さん」を育てていた日本の環境はすっかり変わってしまいましたね。
日本の製糸業は明治時代に殖産興業として発展し、
日本は1900年頃から中国を抜いて世界一の生糸輸出国になったといいます。
1929年の世界恐慌は、日本の一番の生糸輸出国であったアメリカに変化をもたらしました。
アメリカでは日本の生糸を買わなくなり、代わりにナイロンを自国で作り始めたのです。
低価格で大量生産される化学繊維がいつの間にか市場を大きく変えていきました。
日本から「お蚕さん」を育てる環境がどんどん無くなっていきました。
今では絹糸の多くは輸入に頼っていますよね。
本当に、寂しい限りです。
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こんな嬉しいお話があります。
皇居の紅葉山御養蚕所で蚕が育てられている「小石丸」という蚕の糸の太さが
古代の糸に近いことから、正倉院に保存されている織物の復元に使われたということです。
蚕にも、糸の太さにも、いろいろな種類があるのですね。
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蚕は自分の小さな体を使って、美しい絹糸となる繭を紡ぎ出すって、
神秘的ですね。
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皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様の安寧とご無事をお祈りしております。
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写真:日本刺繍家田中京子さんの作品 「帯留」の数々
【七十二候から】21 「竹笋(たけのこ)生ず」
【七十二候から】21
「竹笋(たけのこ)生ず」
皆様、おはようございます。
立夏の末候、筍がひょっこり出てくる頃とされていますね。
でも、皆様ももうたくさん筍を召し上がったと思います。
私も、今年はたくさん筍をいただきました。
筍のお刺身をわさび醤油で、というのも美味しいですね~。
筍ご飯、若筍煮、お吸い物など、
皆さんもきっと楽しまれたことでしょう。
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春先3月には孟宗竹という種類の筍が旬、
その後、長野県の天龍村では破竹筍破竹筍(はちこ)が、
5月、6月は真竹が旬を迎えます。
春の味の筍、しばらく楽しめそうです。
季節を味わうって、嬉しいですね。
おかげさまで「和のたしな美フェア」を楽しみました。
ありがとうございました。
http://derivejapan.com/blog/fair/
皆様、今週もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様のご無事を心からお祈りしております。
【七十二候から】20 「蚯蚓(みみず)出づる」
【七十二候から】20
「蚯蚓(みみず)出づる」
皆様、おはようございます。
「立夏」の次候、みみずが土の中から出てくる頃。
彼らは土を耕してくれる、田畑の優れた住人です。
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さて、初夏の魚「イサキ」。
産卵前の身は脂がのっていて美味です。
厚みのある皮は焼くと旨味が一層増すので、
塩焼きがオススメ。
確かに美味しいです。
お魚屋さんで見つけてくださいね。
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皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様の安寧とご無事を今日もお祈りいたします。
【七十二候から】19 「蛙始めて鳴く」
【七十二候から】19
「蛙始めて鳴く」
皆様、おはようございます。
昨日は「立夏」、そして「蛙始めて鳴く)」日。
あちこちで代掻きが始まり、水田に苗が整然と植えられ美しい風景が見えます。
昨夜も蛙たちの大合唱がいよいよ始まったなあと、
田舎の良さを満喫しました。
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昨年のこどもの日には、
父も元気で孫たちを迎え、
みんなで楽しみましたのに・・・。
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でも、父が残してくれた贈り物があります。
それはいつも窓辺にやってくるヒヨドリのつがい。
今日も餌をねだりにやってきました。
父がいなくても、春になると訪れるこのヒヨドリに心熱くなります。
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暖かくなってきたので、今回の連休でやっと仏間を片付けました。
新緑が爽やかな風を運んできてくれ、心もリフレッシュしてきました。
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皆様も心地よい連休をお楽しみくださいね。
【七十二候から】18 「牡丹華咲く」
【七十二候から】18
「牡丹華咲く」
皆様、おはようございます。
穀雨の末候「牡丹華咲く(ぼたんはなさく)」の日。
大輪の牡丹の花が咲く頃。
ふんわりとした花びらがなんとも言えない美しさと優しさを醸し出しています。
牡丹の別名は、
「富貴草(ふきそう)」
「百花草」
「天香国色」など。
中国では、花の王さまといわれ愛されてきたそうです。
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幸せいっぱいのゴールデンウィークになりますように。
皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様の安寧とご無事を今日も心からお祈りいたします。
【七十二候から】17 「霜止んで苗出ず」
【七十二候から】17
「霜止んで苗出ず」
皆様、おはようございます。
日本の七十二候は、やはりお米の良い生育を待ち望むというのが根本にありますね。
百穀を潤す春雨の候「穀雨」の次候になります。
昨年刈り取った籾(もみ)は、今年の種籾(たねもみ)の苗。
もう霜も降りない頃。
ようやく種籾がすくすくと、青々と育つ時期ですね。
お米は一日に一度は食べたいものです。
お茶碗のお米を一粒でも残すと、おばあちゃんから叱られましたよね。
お米は八十八もの手間をかけて作られたもの。
粗末にしてはばちが当たると。
目が見えなくなると。
今日もたくさんの命に感謝をして、お食事をいただきましょう。
皆様、今日もすべては完璧、大成就でありますように。
被災地の皆様の安寧とご無事を今日も祈ります。