たしなみの言葉8「恐れ入ります」
今日も”和のたしな美塾”から
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相手の方に褒められたとき、
「ありがとうございます。」
とよく使いますね。
でも、こんな言葉を使ってみてはいかがでしょうか。
「恐れ入ります。」
「恐縮です。」という言葉もありますが、
これより和らかい響きがありますね。
「恐れ入ります。」は、
相手に対して迷惑をかけて申し訳ないというニュアンスで日常使っているほうが多いですが、
相手の好意や褒め言葉に対してありがたいなあと感謝する思いで、
ぜひ使ってみてください。
「恐れ入ります。」
ほんの少し間をとってからこの言葉に口にすると、
「ありがとうございます。」よりも
和らかな響きの心地よさとともに、その人の品格を感じさせてくれますね。
たしなみの言葉7「しっくりいかない」
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どんなところでも、何が悩みかといえば、
それは人間関係だと思う人がほとんどでしょう。
「どうも、あの人好きになれない。」
「なんか、あの人おかしいよね。」
と、話が合わないとか、親しくなれないとか、
何となく虫が好かないとか、
いろんな印象を相手に持つものです。
別に喧嘩をしているわけではないのでしょうが、
つい人に愚痴をこぼしてしまいますね。
言葉に出すと、なおさら感情も強くなります。
そんなとき、こんな言葉を使ってみてはいかがですか。
「どうもあの人とはしっくりいかない。」
と。
何か感情的なものではなくて、客観的な感じがしませんか。
相手と違和感があったり、ぴたっといかなかたり、
調和がとれなかったりしたとしても、
「しっくり」を使うことで、
相手に歩み寄って、打開策をさがしてみようと、
そんな気持ちになれますよ。
いかがですか。
自分から歩み寄っていこうという思いは、尊いですね。
たしなみの言葉6「誼(よしみ)で」
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「同郷のよしみで、今度県人会の幹事になってくれないか。」
なんて言葉をよく耳にしますね。
「よしみ」は「誼」と書いて、「親しく思う気持ち」も表しますが、
実際には単純に「縁があること」の意味に使われていることが多いようです。
あなたと私は縁がある、知り合いなのだから、
引き受けてほしいという、頼み事に使われています。
「誼(よしみ)」の本来の意味は「親しく思う気持ち」です。
頼み事に使うというより、自分の心情を表す言葉になります。
その思いを込めて、こんなふうに使ってみてはいかがでしょうか。
「誼を結ばせていただて、光栄に思います。」
「おかげさまで、誼を結ばせていただいています。」
と、目上の人と親しく交流している様子を会話の中で使えば、
敬意のこもった上品な表現になり、その方を尊敬している様子も伺えます。
このように、日本語の中には、敬語を使わなくても目上の人を敬う言葉があるのですね。
美しいです。
是非使ってみてくださいね。
たしなみの言葉5「心安い間柄」
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「あの人とは親しい間柄です。」
という親しい関係、遠慮なくなんでも話せる表現として、
「あの人とは心安い間柄です。」
という言い方があります。
「心」という言葉が入ると、
親しみやすく気がおけない、遠慮がない、気心がわかっている、
というように、お互いが打ち解けあっている様子が伝わってきます。
文学作品の中でもこんな風に使われています。
「出迎をした親類や心安い人の中には、」
森鴎外『かのように』
「どっかに心安い安らかな思いのこもった響でその余韻には鋭い皮肉がふくまれて」
宮本百合子『千世子(三)』
「心安い」
「心安い間柄」
柔らかい言葉です。
使ってみてくださいね。
たしなみの言葉4「敷居が高い」
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「とかく日本の古典芸能は敷居が高くて、
能も歌舞伎にも接する機会がないわ。」
ついつい使っていませんか。
「敷居が高い。」
「自分には分不相応だ」「手が届かない」とか「格式が高い」
の意味に使われているのがほとんどです。
この慣用句は誤った使われ方をしている代表格だそうです。
「敷居が高い。」とは、
友人や知人、親戚など、世話になっている方に十分なお礼をしていなかったり、
迷惑をかけたのにお詫びもしていなかったため、
それが心苦しくて家を訪問しづらいという心境のことをいいます。
「敷居」は玄関の戸が乗る台のことです。
以前は楽にまたいでいたのに、今は心に引っかかるものがあって、
敷居が高く感じられるというのです。
最近では敷居がないバリアフリータイプの家が多くなりましたので、「敷居」という言葉も実感がなくなりましたね。
心苦しく思っている相手にばったり出会ったら、
素直に、想いを伝え、謝りましょう。
「敷居が高くて、伺えずにいました。ごめんなさい。」と。
相手の人は、意外に気にしてはいなかったりするものです。
何と言っても、
その言葉を話す自分自身が一番心がスッとするでしょうね。
たしなみの言葉3「心待ちにしています」
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「昨日はお足元の悪い中、お運びくださいまして、
誠にありがとうございました。」
昨日は和のたしな美庵で、お呈茶と「太陰太陽暦」のお話、
ご参加くださった方々からのホットなニュースのシェアなど、
盛りだくさんの楽しい会をいたしました。
ご参加いただいた方に喜んでいただく、
また行きたいわと思っていただく、
なんと難しいことでしょう。
そこに思いを向けることが
まさに「おもてなし」なのですね。
私も日々皆様からいつも学ばせていただいています。
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いろんな講座やイベントを企画して、皆様をお誘いし、
お返事をお待ちするとき、
「お返事を心待ちにしています。」
という表現を使うと、
言葉だけではなく、
あなたの存在を大切にしているのですよ、
是非その場を共有したいのですよ、
と、心から思っていることが、
「心待ち」という言葉に表すことができます。
ビジネスでも、先方のお返事を待つときに、
メールや電話で、
「心待ちにしています。」と、
さりげなく使いたいですね。
言葉の柔らかさが相手の方の心に伝わります。
先方の方もきっとゴーサインをくださることでしょう。
たしなみの言葉2「私事で恐縮ですが」
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親しい友人の間柄であれば、話の途中で
「突然なんですけど、今度結婚することになりました。」
なんて言ってもあまり相手に嫌な感じを与えません。
でも、仕事の場合、
オフィスで話の途中や会議中、喫茶店で商談中など、
話の最中に
「突然ですみません。」
と言うよりも、
「私事で恐縮ですが、」
「私事で申し訳ありませんが、」
と前置きをしてから、
「実は転居しまして」とか
「母が病気で入院することになりまして」
と話すほうが、
相手にビジネスマンとしての立ち位置と自分の胸の内を伝える思いが伝わりますよね。
「私事で恐縮ですが、」
と、即座に大人の言葉が使えるようになりたいですね。
たしなみの言葉1「続けざまですみません」
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「続けざま」
この言葉は、言葉としては聞いたことがあっても、
いざ使うとなると使いにくいかもしれません。
「続けざま」は、
1)続けて同じことが繰り返されるさま。(続けざまに踏切で事故が起きた。)
2)同じ動作がひき続いてやまないさま。(敵の応酬が続けざまにやってきた。)
3)連続するさま。(電話の音が続けざまに鳴り響いた。)
こんな用例が考えられますが。
「続けざま」に助詞の「に」がつく使われ方がほとんどですね。
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ですから、
「続けざまですみません。」と、
助詞の「で」をつけて、
こんな言い方をしたら、素敵ですね。
オフィスで相手先に、
同じファックスを連続して何度も流してしまったとか、
メールで用件を立て続けに何度かにわたって送ってしまったとか、
同じく、ああ、これもあれもと、数分ごとに電話で何度も尋ねてしまったとか。
こんな経験がありますよね。
そんなときにこの言葉
「続けざまですみません。」
「続けざまの電話で申し訳ありません。」
の心からの一言を添えると、
こちらの謝罪の思いがぐっと伝わり、
相手もまあ、しようがないかという気持ちになりますよ。
是非使ってみてくださいね。
おもてなしの言葉5「お口に合いますかどうか」
昭和の時代までは、女性は花嫁修行としてお茶にお花・・が必須といわれ、
人を家にお招きするのがごく普通のことでした。
現代はホテルなどの非日常の場所で集うことが多くなりました。
ですから、家庭にお客様をお招きして、手料理でおもてなしをする機会も少なくなりました。
「お口に合いますかどうか・・・」
そんな言葉もそういえばあったなあ~という程度で忘れ去られているように思います。
お客様の味覚に合うかどうかわかりませんが、
もてなす側としては、精一杯のご馳走をご用意いたしました。
目には見えませんが、下ごしらえにも心をくだきました。
その結果はいかがでしょうか。
お客様がどのように感じてくださるか、不安半分、緊張半分の心持ちです。
「お口に合いますかどうか・・・」
と、そんなシチュエーションで言われたら、
お客は、もし自分の好みの味ではないにせよ、
私のために用意してくれたのだなあと、
心から幸せな気持ちになりますよね。
成人式おめでとうございます
成人式の今日。
お子さんやお孫さんが二十歳をお迎えになられた皆様、
おめでとうございます。
走馬灯のように小さい頃のいろんな場面が浮かんでくることでしょう。
二十歳は大人の仲間入り。
法律上も自分の意思で契約を取りかわせることができる年齢ですね。
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歴史をさかのぼれば、男子にとっては「元服」(成年式)が大人として認められる儀式でした。
「元服」の「元」は首、「服」は着用の意味があります。
「髪は女の命」といわれてきましたが、
よく見てみると、男子にとっても頭にかぶる冠であったり、髪型を変えたりと、
頭のスタイルは重要な意味合いを持っていたのです。
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さて、日本の成人式の歴史をたどってみます。
平安時代、既に貴族の男子に冠をかぶせる初冠(ういこうぶり)の儀式がありました。
角髪(みずら)という古代男子の髪型(髪を真ん中から左右に分けて耳のところで先を輪にして束ねて垂らすスタイル)から、
頭頂で一つに束ねて結う髪型に変えて、冠(烏帽子)をかぶり、衣装も成人のものに変わりました。
鎌倉時代には、武士の家では、男子は13歳から15歳に、
烏帽子(えぼし)という冠をかぶりました。
烏帽子をかぶるのは、仮の父子の契約をするほど重要な儀式でした。
冠をつける人を烏帽子親、つけられる者を烏帽子子といいました。
室町時代からは、男子は15歳で元服式を行うようになりました。
烏帽子を廃止して、月代(さかやき)をあげる習慣が一般的になったといいます。
そのために男子は前髪を剃るようになりました。
さらに、幼少名から大人の名前をつけたのです。
例えば徳川家康も幼少名は「竹千代」と呼ばれていましたよね。
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女子の元服式は、
鎌倉時代には、12、3歳になると、
垂れ下げた髪を背中で束ねて長く垂らしてその上に裳(も)を着せました。
室町時代以降には、12歳から16歳ごろ、「歯黒染め」の祝いを行いました。
女子の場合は、この歯を黒く染めることを半元服といって、さらに成長すると、「本元服」という眉毛を剃り落とす儀式を行いました。
江戸時代には、「髪上げ」といって、それまでの桃割れなどから島田髷(まげ)に結い上げます。「十六島田」とも言われるように、16歳頃、嫁入りが間近になりました。
男子も鎌倉時代には、公家や平氏系の武家では、厚化粧や引き眉、お歯黒をつけていたといいます
(源氏系はつけない場合が多かったようです。)。
ともあれ、身なりを変えることは本人にとっても自覚を促すものですね。
武士の時代には、一つの決意表明の意味合いが大きかったのでしょう。
現代は「元」も「服」もありませんが、「成人式」を機にして、
日本の創造的未来をになう心広き、平和を愛する若者に育ってほしいと願っています。
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