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Nov 7, 2013

父との思い出の曲『里の秋』

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

私が秋になると思い出す歌、

それは父との思い出の童謡『里の秋』です。

 

 

静かな静かな 里の秋

お背戸に木の実の 落ちる夜は

ああ 母さんと ただ二人

栗の実煮てます 囲炉裏端

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小学生の頃、郷里の家の二階でこの曲をオルガンで弾いていた時、

外の庭にいた父から、やめないでもっと弾いてくれと、言われたのを覚えています。

 

当時父は、宮城の気仙沼港を寄港として、主にマグロ漁業船の無線通信士をやっていました。

父親(私から見れば祖父)が病弱で入退院を繰り返していたためにお金が必要だったのです。

 

あるときはアリューシャン列島まで、あるときは北海道までと、父は遠出をしていたので、

家に戻るのは年に、二、三回程度でした。

 

父が40歳の時、陸に上がりました。

その直前に乗らないかと誘いを受けた船に、気が進まず辞退したらしいのですが、

その船は洋上、転覆してしまったそうです。

 

 

父はそれを辞退したことで命拾いをしました。

まさに、「板子一枚、下地獄」の世界が海にはあります。

 

父が今も生きていられるのは、目に見えない人生の大きな選択をここでしたからでしょう。

 

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栗

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この童謡『里の秋』は、

1945年に敗戦により失った領土からの引揚者の激励のためにNHKのラジオ番組で放送されたものだそうです。

 

私の父もこの曲を私にリクエストをしたのも、何か敗戦のころの思い出があったのかもしれません。

 

 

明るい明るい 星の空

鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は

ああ 父さんの あの笑顔

栗の実食べては 思い出す

 
父がその後もしばらくの間 、海に出ていたので、

秋になると、この曲を思い出しては涙がこぼれたものです。

 

秋がやってくると思い出す『里の秋』です。

 

皆様も何か秋の思い出はありますか。

 

 

今日も台風の行方が気になりますね。

素晴らしい一日にしましょう。
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栗木さん14 のコピー

 

Nov 7, 2013

稲刈り

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

実りの秋、食欲の秋でもありますね。

もう新米を召し上がっている方もいらっしゃることでしょう。

 

稲刈りは終わりましたか。

 

農家では、初夏の忙しさとはまた違った忙しさに追われる時期ですね。

早生は9月中に稲刈りがされますが、大部分は10月に入ってからではないでしょうか。

 

例年ですと、10月中旬は晴れた日が続きます。

 

今は機械で稲刈りも順調に進みます。

 

機械がない時は、爽やかな鎌の音が響き渡りました。

 

 

順礼や  稲刈るわざを見て過る           (正岡子規)

 

 

秋の風情を感じさせるもの、昔は天高き青空の下で、

鎌の音が心地よく鳴り響いていたのですね。

 

刈った稲は束ねられて、稲架にかけられて干し連ねられます。

また沼田では幾列か稲を刈り残して伏せた上に、刈り稲をのせる、

そういうところもあるのですね。

これは今でも行われているのでしょうか。
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秋稲の実り

 

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新米の美味しさは、また格別ですね。

 

秋の風情を感じさせるもの、新米。

大自然と人との共同作業で生み出す、まさしくきらきらと輝く宝物ですね。

草刈つて 飛鳥道のさびしさよ        (日野草城)

 

台風が心配されますね。お気をつけてお過ごしください。

今日も豊かな秋を感じる一日になりますように。
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おにぎり のコピー

 

 

Nov 7, 2013

砧(きぬた)〜秋のものがなしさ〜

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

かつて女性の夜なべ仕事であった「砧(きぬた)」

その音が秋の夜のあわれさを誘うということで、昔から詩歌などによく詠まれてきました。

 

砧は、アイロンがない時代に、洗濯した布を生乾きの状態で台にのせ、

たたいて柔らかくしたり、皺をのばすための道具でした。

 

昔は、夜になるとあちこちの家で砧の音がしたそうです。

 

日本の家庭では、明治時代、炭を使うアイロンが普及したため、すたれてしまいました。

今では、わらを打ちやわらげたり、紙の原料を作るために使われるだけにまってしまいました。

能の演目「砧」では、女主人公が砧を打つことが情念の表現になっています。

晩秋の物悲しさとともに、夫の留守宅を守る妻の悲しみが描かれています。

古来より人々に好まれてきた能です。

砧を打つ音。

物悲しさ。

これも秋の風情ですね。

 

 

 

憂き我に 砧うて 今は又止みぬ        (与謝野蕪村)

 

 

秋の風情、皆様はどんなものをイメージしますか。

素敵な秋の一日をお過ごしくださいね。
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竹垣・秋

 

 

Nov 7, 2013

日本は最高の国〜生麦事件のリチャードソン〜

江戸時代、西欧の人たちが日本に来て驚いたことがたくさんありました。

 

日本人の気骨、骨太の精神に感服したこともそうですが、

江戸の町の立派さに驚いたという記述もあります。

 

今から150年も前に、英国人商人リチャードソンが、父親に宛てた手紙の中で、

日本や江戸のことを書き綴っていました。

 

その手紙によれば、

「日本はイングランド以外の場所で私が訪れた最高の国です。

山や海のは抜群です。

 

日本人が他の国との交わりを断ち続けてきたことを考えれば、

江戸という都市の素晴らしさは驚きです。

 

江戸の官庁街ともいえる界隈は、どの西洋列強にも引けをとらないでしょう。」

 

この後で大名屋敷のこと、塀や門の立派さも述べられ、

日本に対する親しみの込められた言葉が連ねられています。

 

栗木さん8

リチャードソンは、今の横浜で起きた生麦事件で殺害された人です。

事件の11日前に父親宛の手紙の中でこのようなことを述べていたのです。

 

この手紙は、ロンドン在住のリチャードソンの姉のひ孫ウェイスの申し出により、

現在では横浜開港資料館で保管されています。

 

資料館の主任調査研究員は、この手紙によって、それまでの生麦事件とは全く違うイメージが持てるのではないかと語っています。

 

また、リチャードソンが日本を見下しているという印象はこの手紙からは受けないので、

生麦事件は、外国人と日本人とのしきたりの違いから起こったのであろうと言う人もいます。

 

 

もっともっと日本のこと、江戸のことを書き綴ってほしかったですね。

 

 

大分秋めいてきましたね。

風邪を引かないように、気を付けてお過ごしください。

江戸日本橋1

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Nov 7, 2013

浅草浅草寺〜芭蕉も聞いた時の鐘〜

推古天皇の時代、628年、
漁師の兄弟が隅田川で漁をしていたときに聖観音像を引き上げたことに由来します。

土地の郷士が、これを聖観世音菩薩の尊像としてあがめ、

自分も剃髪して僧となって、自宅にこの観音像を奉安したのです。

これが浅草寺の起源だといわれています。

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後にこの三人を三社権現としてお祀りしたのが三社権現社(浅草神社)の始まりで、

そこから生まれたのが「三社祭」です。

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江戸時代になり、徳川家康は浅草寺を徳川家の祈願所に定めました。

浅草寺境内にある弁天山の鐘楼の鐘は、徳川5代将軍綱吉の命により作られ、

当時この鐘は江戸市中に時刻を知らせたことから「時の鐘」ともいわれていました。

 

江戸の人はみなこの鐘の音を時を告げる音として聞いていたのですね。

松尾芭蕉も、深川の草庵でこの鐘の音を聞いていました。

 


花の雲 鐘は上野か 浅草か (芭蕉)

雷門2

浅草浅草寺の雷門

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Nov 7, 2013

えびす講

10月20日は「えびす講」でした。

出雲に全国の神様が集まる10月。

恵比寿様だけが地元に残って留守番をしているのだそうです。

 

その恵比寿様をお慰めしようということで、「えびす講」が始まったといわれています。

 

えびす講は、商売繁盛、豊作を願って恵比寿様にお詣りする日です。

 

 

今週もよい週になりますよ。

大前神社えびす様

 

Nov 2, 2013

漁師さんの「天気を読む方法」

漁師さんの天気観測法

 

海に生きる男たちに代々伝えられた天気観測法です。

 

「近い山が遠くに見えるときは雨が降る」


湿度の関係で、近い山が遠くに見えるらしいのです。
湿度の高い空気がくることは、南からの前線が張り出していることで、
これが冷たい空気に触れると、雨になるので注意ということです。

 

 

「突風は小潮回りに多い」

 

大潮どきには雨の降る日が多いといわれています。
これは学問的な裏付けというよりも、長年の経験で言い継がれている言葉です。

 

 

「夜明けの小雨と女の腕まくり」

 

前日まではきれいに晴れていたのに、夜明け頃になって小雨が降り出すことがあります。
この雨は長続きせずに、すぐにやみます。
女の腕まくりと同じで、大した雨ではないということですね。


海朝日

「上げ潮どきに降り出した雨はやまない」

 

引き潮どきに降り出した雨は、間もなく止むが、満ち潮時に降り出した雨は1、2日続く。
この雨が止むのも、引き潮のときが多いということです。

 

 

「秋の空は一日七度変わる

 

秋の空は、晴れていたかと思うと、突然曇ったり、急に雨が降ったりする。
この変わりやすいお天気を「女心と秋の空」ともたとえられます。

 

 

 

「上下の雲が正反対に流れるときは風雨がある」

 

空を見てこんな状態になっていたら、要注意ですね。

 

 

 

 

漁師さんの生活は、天候とは切っても切れないものですね。

天候には特に気を使います。

漁師さんの父祖代々伝わるという天気観測法をご紹介しました。

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海と島の夕陽

 

 

 

 

 

 

 

Nov 1, 2013

女三界に家なし

江戸の町には自由性があって、元禄文化も大きく花開きましたが、

明治政府になって、民法の中で戸主を中心とする家制度が定められ、

お寺が戸籍簿である人別帳を管理していた時代が終わりました。

明治政府は、天皇制によって政治権力を安定させようとして、天皇と国民の関係を戸主と家族の関係になぞらえたのですね。

江戸のいわば事実婚から、法律婚への切り替わりです。

明治の女性の生き方の象徴として、
「女三界(さんがい)に家なし」というのがありました。

とてもこれは強烈に響きました。

 2013-10-21 09.25.17
「三界」とは仏語で、欲界・色界・無色界、すなわち全世界のことですが、

女は幼少のときは親に、嫁に行ってからは夫に、老いては子供に従うものだから、広い世界のどこにも身を落ち着ける場所がないという意味です。

女性の生き方って、日本の長い歴史の中でこんなにも重たく、辛い・・。

そうだったのだろうかと、長く思ってきました。

今は女性が生き生きと生きる時代に変わってきましたね。
戦後、家制度が無くなり、戸籍法も変わりました。

でも、今もその影を引きずっているところが社会の中にはまだ残っているようにも思います。

江戸の町って、こんなにも心豊かに、ユーモアも楽しんで、自由な空気が流れていたのだということに感銘を受けました。

自由性の中で創造的な芸術も花開き、江戸ルネッサンスの空気すら感じます。

しかも、私たちが失いつつある心の大切なものがいっぱいあります。

私は、これからも江戸庶民の心意気などを探っていきたいと思っていますし、

江戸だけではなく、置き忘れてきた日本のよさを見つけていきたいとも思っています。

これからもどうぞよろしくお願いします。
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Nov 1, 2013

フクシア 花言葉は「暖かい心」

お花は「フクシア」。

「ホクシャ」とか「ツリウキソウ (釣浮草) 」とも呼ばれています。このお花が好きな方が多いのですね。

第一次大戦後、アメリカで品種改良がなされて、今では何千種類もの品種が生み出されているそうです。

イギリスでは、耳飾りのような 花の姿から「イヤー・ドロップ」(ear drop) とか「淑女のイヤリング」(Lady’s eardrops)ともいわれて親しまれているそうです。

可愛い表現ですね。

花言葉の一つ「暖かい心」は、今ここに、一番ふさわしいですね。

2013-10-17 09.16.19

 

 

Nov 1, 2013

江戸の女性もアイディアビジネスを

山暮れて紅葉の朱を奪ひけり (与謝蕪村)

寂しさをともなう秋の夕暮れに、燃えるような赤く色づく紅葉を手にとって、

火の温もりを感じているような、そんな思いが伝わってきます。

江戸の男性にはユーモアのセンスや駄洒落が求められたなんて、

昔流行ったコマーシャル、三船敏郎さんの「男は黙って⚪︎⚪︎ビール」とは大分違いますね。

現代もウーマンズパワーが光っています。

女性の起業家も増えてきていますね。

江戸の妻たちも、才覚を働かせてアイディアビジネスを行なっていました。

野菜の切れ端などを使って漬物を作ったり、布の切れ端などを使って巾着などの小間物を作ったりしました。

2013-10-11 08.41.09

仕入れにお金をかけず、サービスと愛嬌で売っていたそうです。

妻のほうが収入が多いのも珍しくありません。

アルバイト的に洗濯や家事の代行をするなど、単身赴任者が多い江戸では、女性が一生働き口に困ることはなかったそうです。

夫も妻を支え、夫婦関係は平等で、互いによきパートナー。

現代に通じるものがありますね。

江戸の町はエコ社会、循環型社会だといわれていますが、

仕事にも生かしていたなんて、お見事ですね。

お金をかけなくてもできることとって、今の時代、どんなものがあるでしょうか。

身の回りの断捨離グッズにもいっぱいアイディアがありそうです。

今日はそんなことを考えてみませんか。

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