女三界に家なし

江戸の町には自由性があって、元禄文化も大きく花開きましたが、

明治政府になって、民法の中で戸主を中心とする家制度が定められ、

お寺が戸籍簿である人別帳を管理していた時代が終わりました。

明治政府は、天皇制によって政治権力を安定させようとして、天皇と国民の関係を戸主と家族の関係になぞらえたのですね。

江戸のいわば事実婚から、法律婚への切り替わりです。

明治の女性の生き方の象徴として、
「女三界(さんがい)に家なし」というのがありました。

とてもこれは強烈に響きました。

 2013-10-21 09.25.17
「三界」とは仏語で、欲界・色界・無色界、すなわち全世界のことですが、

女は幼少のときは親に、嫁に行ってからは夫に、老いては子供に従うものだから、広い世界のどこにも身を落ち着ける場所がないという意味です。

女性の生き方って、日本の長い歴史の中でこんなにも重たく、辛い・・。

そうだったのだろうかと、長く思ってきました。

今は女性が生き生きと生きる時代に変わってきましたね。
戦後、家制度が無くなり、戸籍法も変わりました。

でも、今もその影を引きずっているところが社会の中にはまだ残っているようにも思います。

江戸の町って、こんなにも心豊かに、ユーモアも楽しんで、自由な空気が流れていたのだということに感銘を受けました。

自由性の中で創造的な芸術も花開き、江戸ルネッサンスの空気すら感じます。

しかも、私たちが失いつつある心の大切なものがいっぱいあります。

私は、これからも江戸庶民の心意気などを探っていきたいと思っていますし、

江戸だけではなく、置き忘れてきた日本のよさを見つけていきたいとも思っています。

これからもどうぞよろしくお願いします。