たしな美
Apr 18, 2014

花を弄すれば、香り衣に満つ〜お茶席でのおもてなし

おはようございます。

お茶席では、掛軸も花もお釜も屏風もすべてその日の客人のためのおもてなしの心の表れとされていますね。

掛軸に表す言葉、そのものも、おもてなしの心です。

昨年の横浜三渓園でのお茶会で、

私の師匠がお茶席のために用意した掛軸です。
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「弄花香満衣(はなをろうすれば、かおりころもにみつ)」

待ち望んでいた春になって、野にいでて花を摘めば、

その花の香りが着物の袖にほのかに移るようです。

明るい春の陽射しの中で、香しい甘い香りを、心から愛おしむような句ですね。

寒さにじっと耐えていた冬がやっと終わり、雪が解け、

小川のせせらぎが聞こえる中で摘む花の初々しさと香しさ。

それを想像するお客様をほんわかした思いに誘いますね・・。

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もともと、これは唐の詩人、干良史の詩「春山夜月」の一句です。

臨済禅の祖、南宋の虚堂智愚(きどうちぐ)禅師が禅的に解釈して提唱に使ったために、

禅語になったということです。

実はこの句の前に、

「掬水月在手(みずをきくすれば、つきてにあり)」という句があります。

非常に高いところにあって手に取ることのできないお月さまを、

水を手ですくうと、自分の手のひらの中に映るのです。

お月さまは今私の手のひらで煌煌と光を放っています。

何と素晴らしいことでしょうか。

禅の提唱に使うほどの言葉ですから、この言葉にも深い意味がありそうですね。

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苔むした手水
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原因があって結果があるのだから、

ただぼんやりしていたのでは何の結果も得られないのだよ。

花を摘んでもてあそばなければ、花の香りが着物の袖に移ることも、

水を手にすくわなければ、お月さまが手に入ることもないのだよ、

ということです。

結果をあれこれと案じるよりも、まず何らかの行動を起こしなさい。

そうしなければ結果は得られませんよ。

思い悩むより、まずは実行しなさい。

背中をポンと押してくれる、

そんな含蓄が込められているように思います。

時には、思い切って行動してみることが大切ですね。

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本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

心晴れやかに、最高の一日をお過ごしくださいませ。

 

Apr 3, 2014

増上寺の献茶式に参列して

おはようございます。

昨日は、芝、大門の増上寺の献茶式に行ってまいりました。

浄土宗宗祖法然上人の命日の法要ということで、表千家の堀内宗完宗匠によって

ご本尊の阿弥陀如来と法然上人にお茶が献ぜられました。

 

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桜の花が満開で、

朱塗りの建物やすぐそばにそびえる東京タワーの赤い色と桜の花がうまくマッチして、

素晴らしい風景を見ることができました。

 

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元々は正月25日が法然上人の命日で、正月に一週間、御忌献茶式として修されたようですが、

明治ごろから4月に営まれるようになったそうです。

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御忌献茶式は今年で31回目を迎えました。

昭和57年、法然上人の降誕850年慶讃法要から始まったのがこの献茶式です。
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増上寺は、徳川家の菩提寺として、六人の将軍(二代秀忠公、六代家宣公、七代家継公、九代家重公、十二代家慶公、十四代家茂公)の墓所がもうけられています。

 

そこには各将軍の正室と側室のお墓ももうけられていますが、家茂公の正室で悲劇の皇女として知られる和宮のお墓もあるということです。

 

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昭和20年に空襲によって、三解脱門や黒門などを除きほとんど増上寺の建物は消失したのですが、

その後復興を遂げ、現在に至っているのですね。
「三解脱門(さんげだつもん)」は、三つの煩悩であるむさぼり、いかり、おろかさを解脱する門のことだそうです。

この門をくぐることによって、三毒(三つの煩悩、貪・瞋・痴)が解脱できるとされています。

今抱いている悩みを解消したいなあという時に、この門をくぐって、三毒を解脱できるといいですよね。

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本日もお読みくださいまして、ありがとうございます。

東京は桜の花びらが散る様さえも美しい季節です。

今日も佳き一日になりますように。
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Jan 15, 2014

初釜で味わう以心伝心のおもてなし

昨日の「初釜」はお天気に恵まれて、よい雰囲気を味わうことができました。

茶道の心は「和敬清寂」といわれます。

主人も客もお互いに心を穏やかに和して、つつしみ敬い、茶室のしつらえを味わい、清らかな雰囲気を大切にすることです。

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茶室に入る前の外の「待ち合い」のところから、もう既に主人のおもてなしは静かに始まっています。

まさに「以心伝心」です。

にじり口から身をかがめて薄暗い茶室に入ります。

先にお軸、お花、炉、屏風などを客は拝見します。

薄暗い空間で、炭を炉に入れるお手前を拝見してお菓子をいただきます。

次第に炭とお香の香りが漂ってきます。

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次に客は部屋をいったん出て外の待ち合いに戻り、茶室に入り直しをします。

その空間には光が少し差し込み、お軸が輝きます。

そこで濃い茶をいただきます。一つの茶碗を回し飲みします。

暗さから明るさへ。

冷たさから暖かさへ。

緊張した雰囲気から和らいだ雰囲気へ。

次第に身も心も空間に融け込んでいくような感じです。

凛とした中でもその二局を体験することで、それぞれのよさが引き立ちます。

愛と悲しみ。

歓びと嘆き。

美しさと醜さ。

私たちは今生でどちらも体験することで、深い人の思いに共感ができるようになるのですね。

昨日はそんなことを初釜を味わうことができました。
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懐石料理は、禅宗の食事ととてもよく似ています。

すべては黒いお椀です。いただくものは、お刺身、野菜の煮物や焼き魚などなど。

最後にご飯を一口残しておきます。

焦げたお米の入ったお湯がやってきます。

 

 

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みそ汁椀とそのご飯のお椀に、そのお湯を注ぎます。

そこで一緒にいただくお新香でお椀の内側をきれいにしながら、

ご飯を食べきり、お椀の中味を吸いきります。

最後に懐紙で内側を綺麗にふいて、椀類を綺麗に重ねてお返しします。

食べ残しがあれば、自分で持って帰ります。
 
客のお食事がすむと、各自のお盆の上に、一斉に箸を音が出るように置きます。

それが食事は終わりましたの合図になります。

なかなか主人には、その音が聞こえないので、

つい声を出して「終わりました」と言ってしまいますが・・。

 

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以心伝心。

客が茶室のにじり口から出入りする時、最後の客は、その戸を音を立てて閉めます。主人に聞こえるようになるべく大きな音で。
それが「みな入りました」「みな出ました」の言葉に替わる合図なのです。
 
懐石料理をいただいて、いま食事が終わりましたというときも、お盆に箸を落として音を立てて、主人に知らせるのです。
 
日常にはない、何とも言えない静寂さの中での音の素晴らしさ、心の表現を感じますね。
 
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Dec 17, 2013

新島八重の「寂中庵」への思い

皆様、おはようございます。

いろいろ励ましのお言葉をいただきまして、ありがとうございました。

やっと元気を取り戻してきました。

 

「夢は枯れ野を駆け巡る」の心境でここ4、5日過ごしていました。

あれもしたい、これもしたいと思うだけで、体が思うように動きませんでした。

 

病気になると、いつまでこれが続くのか先行きが見えない不透明さとともに、健康でいたときに体を乱暴に扱っていたことへの申し訳なさ、頑張ってくれていたことへの感謝の思いが交錯してくるものですね。

 

身体は大切にしないといけませんね。

 

皆様も、どうぞお気を付けてお過ごしくださいね。

 

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NHK大河ドラマ『八重の桜』が最終回を迎えましたね。

時代は欧米列強と肩を並べる富国強兵の時代、大国との戦争の時代へと突入していきました。

そして、兄覚馬、前会津藩主松平容保、そして、夫新島襄を、実母をと、次々と亡くしていきます。

 

「みいんな、いなぐなって、しまったあ・・」と、涙で語る八重。

 

だれにでも必ずやってくる身近な人たちとの別れ。

 

襄の魂がやって来て、彼女を後ろからそっと抱きます。
「八重さん、貴女が強くあるように、貴女のそばにいつもいます。」

 

 

 

夫襄の死後、心を潤したのは茶の湯だったのですね。

そこには、心の安寧を得ることができる世界があったのだと思います。

 

同志社の理事大澤善助から、娘に茶道を教えてほしいと頼まれたことがきっかけで、自宅の一室を改造して茶室を作りました。

裏千家第13代の千宗室(円能斎)が、「和敬清寂」という茶の湯の真髄の四文字から「寂」という字をとって、そこは「寂中庵」と命名されました。

 

「和」とは、とらわれの心から開放され、和らいで混じり合うこと。

「敬」とは、敬い尊敬すること。

「清」とは、あらゆる対立を超越した清らかな心。

「寂」とは、「空」や「無」の境涯のこと。あらゆる対立を超越してこそ得られる不動の心と言えるでしょう。

主客相互が職業や地位、貴賤などを超えて、尊敬し、認め合うこと。

赤十字の看護婦として先頭に立って陣頭指揮した八重にとって、命とは敵も味方もない、尊い存在そのものであったのです。

日本が国意を高揚させながら戦いに向っていく様は、見ていてさぞ辛かっただろうと思います。

 

明治維新に伴う大名家の廃止などによって茶道は廃れていったようですが、八重が茶室「寂中庵」を開いて、女性に茶道を教え始めたため、裏千家は女性の間に広まっていったそうです。

女性の品格や知性、教養を磨くことこそ大切であり、それが社会を、世界を変えていくと、考えていたのでしょう。私も共感できます。

 

1890年(明治23年)には茶名「新島宗竹」を許され、女性では最高位にあたる裏千家の師範にまで上り詰めました。

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「会津のおなご」の誇りを生涯持ち続け、最後まで「わだすは、あきらめねえ」の精神で生き抜いた女性の生き様は、学ぶべきところがたくさんあります。

時代も生き方も全く異なる現代ですが、

私たちも人生の最期まで、あきらめないで夢を追い続け、生きていきたい、そう願っています。

 

 

 

 

 

Dec 5, 2013

おもてなしの極意を広報誌「Smile」が紹介

キャリアデザイン能力認定協会を運営する、

株式会社ZAC発行の広報誌「Smile」の

「輝く女性」コーナーに、私の記事を掲載していただきました。

この広報誌は、株式会社ZACのクライアント企業や個人会員の方限定に向けて発行しているものです。

全国に笑顔の和を広げていきたいというメッセージが込められています。

私が書かせていただいたコーナーは、

個人経営者、各業界で活躍されている方、未来の起業家など、

輝いている女性をご紹介するコーナーということです。

このコーナーへの投稿のきっかけは、

私が学んでいる講座、株式会社ZACの銀座ロイヤルスクールの、

マナースマイル教室の三上絢愛先生からお話をいただいたことです。

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三上先生との個人レッスンは毎回とても楽しく、

ちょっとした合間にお顔を見ながらお話することでとても癒され、

話が終わらなくなるほどです。

昨年からずっと続けてこられたのは、先生の教えてくださることはもちろんのこと、

お人柄によるところがとても大きいですね。

自分の隠れた魅力を引き出してもらえる、そんな喜びも毎回感じています。

私がこの教室に通い始めて大きく変わっていく姿をぜひ多くの人に知ってほしいと、

いつも三上先生はおっしゃっていました。

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この記事は次の質問事項に答える形で書いています。

1 現在の目標は何ですか。
2 どのような毎日の生活をしていれば、美が保てるのですか。
3 おもてなしの心で一番大切にしていることは何ですか。
4 読者の皆さんへのメッセージ。

記事の内容は以下のとおりです。♡
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http://derivejapan.com/voice/smile/

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