おはようございます。
お茶席では、掛軸も花もお釜も屏風もすべてその日の客人のためのおもてなしの心の表れとされていますね。
掛軸に表す言葉、そのものも、おもてなしの心です。
昨年の横浜三渓園でのお茶会で、
私の師匠がお茶席のために用意した掛軸です。
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「弄花香満衣(はなをろうすれば、かおりころもにみつ)」
待ち望んでいた春になって、野にいでて花を摘めば、
その花の香りが着物の袖にほのかに移るようです。
明るい春の陽射しの中で、香しい甘い香りを、心から愛おしむような句ですね。
寒さにじっと耐えていた冬がやっと終わり、雪が解け、
小川のせせらぎが聞こえる中で摘む花の初々しさと香しさ。
それを想像するお客様をほんわかした思いに誘いますね・・。
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もともと、これは唐の詩人、干良史の詩「春山夜月」の一句です。
臨済禅の祖、南宋の虚堂智愚(きどうちぐ)禅師が禅的に解釈して提唱に使ったために、
禅語になったということです。
実はこの句の前に、
「掬水月在手(みずをきくすれば、つきてにあり)」という句があります。
非常に高いところにあって手に取ることのできないお月さまを、
水を手ですくうと、自分の手のひらの中に映るのです。
お月さまは今私の手のひらで煌煌と光を放っています。
何と素晴らしいことでしょうか。
禅の提唱に使うほどの言葉ですから、この言葉にも深い意味がありそうですね。
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原因があって結果があるのだから、
ただぼんやりしていたのでは何の結果も得られないのだよ。
花を摘んでもてあそばなければ、花の香りが着物の袖に移ることも、
水を手にすくわなければ、お月さまが手に入ることもないのだよ、
ということです。
結果をあれこれと案じるよりも、まず何らかの行動を起こしなさい。
そうしなければ結果は得られませんよ。
思い悩むより、まずは実行しなさい。
背中をポンと押してくれる、
そんな含蓄が込められているように思います。
時には、思い切って行動してみることが大切ですね。
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本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
心晴れやかに、最高の一日をお過ごしくださいませ。