皆様、おはようございます。
昨日は東京はぼた雪が舞い散りました。
そんな中で梅の香しい香りが、何とも言えない雰囲気を醸し出していました。
雪や冷たい雨に打たれても、春を拓くと言われている花です。
二月は「梅見月」とも呼ばれます。
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梅は、遣唐使が派遣された奈良時代に中国から日本に伝わりました。
当時は、とても珍しい花だったのです。
当時の日本の万葉人にとっては、中国はモダンで憧れの文化を持つ国でした。
唐代の中国では、西域の文化を受容しながら、のびやかな文化が発達していたのです。
万葉人には、中国伝来の梅にも特別な思い入れがあったことでしょう。
そのせいか、「万葉集」には梅の花が約百二十首も詠まれています。
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当時太宰府長官だった万葉の歌人・大伴旅人(おおとものたびと)は、
730年の旧暦正月十三日に、自邸に三十数人の万葉歌人を招いて、「梅見の宴」を催しました。
その中には、小野老(おののおゆ)、沙弥満誓(さみまんせい)、
山上憶良(やまのうえおくら)もいたそうです。
外国への玄関口であった大宰府長官の玄関先に、当時としては珍しいエキゾチックな梅の木が植えられていました。
招かれた太宰府の官僚や国司らは、どんなにか心躍る思いだったことでしょう。
そこで大伴旅人(おおとものたびと)が詠んだ歌です。
「我が苑(その)に 梅の花散る ひさかたの
天(あめ)より雪の ながれくるかも」
「万葉集」第五巻
わが庭に梅の花が舞い散る。
それはまるで天から雪が流れて落ちてくるようだ。
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梅花の落ちるさまを「天より雪の流れ来る」と表現したのですね。
ぼた雪が舞い散る昨日の東京。
雪が天から振り降りたように、
梅の花びらが果てしない天から降り注いでくるような、
そんなイメージを抱いていたのですね。
まるで幻想的な映像を見ているような、そんな表現をした大伴旅人の歌です。
今なら、桜吹雪を連想するかもしれませんね。
今日もお読みいただきまして、ありがとうございます。
暖かくしてお過ごしくださいませ。
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