おはようございます。
先日の”和のたしな美塾”講座で取り上げた清元『北州』。
2回に分けて行いましたが、
多くの方にご参加いただき、心から感謝しています。
ありがとうございました。
『北州』は素踊り形式というものをとります。
舞踊家にとって素踊りというのは、大変に難しいものとされています。
素踊りというのは、扮装も大道具も特別に使わない踊りのことで、技量の善し悪しがはっきりと客様に分かってしまうものなのです。
この『北州』は扇子一本で、武士、花魁、商人、馬子など20人ぐらいの人物を踊り分けていくのです。
扇子一本がいろんな描写に変身していきます。
いつかそれもご覧いただきたいと思っています。
さて、落語でも、扇子はいろんな表現をする小道具として使われていますね。
舞踊では、その演目に応じてさまざまな扇子を使い分けますが、
落語では、扇子を「高座扇」といって、平手打ちの白扇だけに限られています。
それはなぜかというと、扇子を開いたときに絵や文字があると、そこにお客さんの視線が集まってしまって、効果が薄れてしまうからだそうです。
この扇子がさまざまな小道具に見立てられていることは、ご覧になっていて、お分かりかと思います。これは舞踊とも共通していますね。
閉じたままの扇子は、刀、槍、杖、釣り竿、竹竿、きせる、箸、割り箸、お銚子などになります。
ちょっと開いてきしませると、船の櫓の音になったりします。
少しずつ開くいていくと、手紙になります。
開ききった扇子は大盃になります。
これを飲み干せば、酔っぱらいになりますよね。
すべて演者の腕の見せ所です。
いかに臨場感あふれる風情を出すか。
芸の道は一夜にしてならず。
なかなか難しいものです。
見てくださる方が喜んでくださる、楽しんでくださるというのが演者の最高の喜びですね。
本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。
楽しい一日をお過ごしくださいませ。
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