皆様、おはようございます。
「冬」というのは、草木が枯れ、ヒューヒューと木枯らしが吹き、
吹雪も舞い散る、身も心も小さくちぢこまる、
そんなイメージの季節のように思います。
ところが、「ふゆ」の語源を紐解くと、
なんと、
「殖ゆ」とか「振ゆ」という言葉にたどり着きます。
「言霊」から見ても、増えて湧き出ずるというエネルギーのようです。
『日本書紀』では「恩頼」を「みたまのふゆ」と読ませ、
神の神秘な働きや恵みを、そう呼んだようです。
私たち人間の魂(生命力、人の陽気)が増えることが「ふゆ」なのですね。
その時期を「冬」というわけです。
万物の生気が衰えるこの「冬」の時期に、
「魂振り」をして、エネルギーを充電するというわけです。
古の人々は、現象の世界に見えないものを
肌で感じていたことがよく読み取れます。
エネルギーの充電の方法が「神楽」だったのです。
「神楽」は、「物を搗(つ)く」ことであるといいます。
「物を搗く」の「搗く」というのは、穀物を杵や棒の先で強く打って押しつぶしたり、
殻を除いたりすることです。まさに米文化の農事です。
「物を搗く」と音を発しますね。
そして、上下運動をしますので、魂振りをするというわけです。
能や歌舞伎で演じられる五穀豊饒を祝う「三番叟(さんばそう)」の踊りに、
「揉(もみ)の段」と「鈴の段」がありますが、
地固めと種を蒔く舞、この種を蒔くために鈴を振る舞は、
まさに「魂振り」ですね。
閉ざされた種の中に、実は新しい命が芽生える季節「冬」。
どうぞ風邪などお召しになりませんように、
生気をこの時期しっかりと充電していきましょう。
“和のたしな美塾”のご紹介ビデオが出来上がりました。
どうぞご覧くださいませ。