今日は、俳人小林一茶(1827年)の命日です。
ゆかりのある寺や場所で法要が営まれるほか、句会が催されます。
一茶は信州柏原出身。
早くに母親を亡くし継母に育てられ、不遇な少年時代を過ごしました。
15歳で江戸に出て、流浪しながら俳句を学んだのです。
彼は52歳で結婚。
4人の子を得ましたが、次々に妻子を失いました。
加えて、近所のもらい火で家を焼かれ、不幸な晩年を送りました。
65歳の生涯を仮寓の土蔵で閉じたのです。
彼の句は、恵まれなかった境遇から生まれたもので、
弱いものや貧しいものへの同情を、巧みな俗語でうたいました。
「おらが春」「父の終焉日記」などの句集があります。
自らの経験から、優しさの眼差しに溢れています。
夕月を 取てくれろと なく子哉
露の世は 露の世ながら さりながら
ともかくも あなた任せのとしのくれ
短い句の中に、一茶の全人生が込められていると思うと、感慨深いものがあります。
経験ほど尊いものはないのですね。
句をよむ人も悲しい経験をしてこそ、その気持ちが痛いほどよく分かるものです。
俳句に込めた一茶の思いを今日は味わってみたいです。