水戸黄門や大岡越前など、人情時代劇で見ていると、
盗人が豪商の家の蔵から千両箱を荷車で運び出している様子をときどき目にすることがあります。
盗人や強盗がやってきても、火事になっても、
江戸の町は現在の警察や消防のように、国が国費を使って警備するのではなく、町人たちが町費を出して管理するという、自費組織だったのですね。
そこで、木戸番や自身番が各町ごとにもうけられていたのです。
江戸の町人地では、この木戸番がもうけられ、夜四つ(夜10時)から明け方六つ(朝六時)まで閉められ、通行ができなくなりました。
北原亞以子原作の「とおりゃんせ〜深川人情澪通り」がNHKの「金曜時代劇」で放映されたことがありました。
ある町人町で木戸番として雇われた夫笑兵衛・神田正輝と女房お捨・池上季実子。
それぞれの過去を秘めたこの夫婦と町の人々との交流を描いた物語でした。
池上季実子演ずる女房お捨が、女性から見ても、なかなか味わい深く、とても素敵だったなと、印象に残っています。
人情味があって、身のこなしも女性らしく優雅さもあって、あこがれでした。
人のいいこの実直な夫婦が醸し出す雰囲気にも温もりを感じていました。
人気のドラマでした。
当時、こういう人たちが大勢いたのだろうと思いますね。
木戸番は、番小屋ともいわれ、毎日の木戸の開閉は大家や月番がしました。
ただし、夜の10時以降、脇のくぐり戸の開閉と、夜間の火の用心の夜回りは木戸番がしたようです。
木戸番は町雇いで、年に一両か一両二分の低い給金なので、わらじ、駄菓子、ろうそく、ほうきなどの日用雑貨、冬は焼き芋などを売ることが許されていました。
実際には、住み込みの独身やお年寄りの独り者が多かったとか。
江戸の木戸番でも冬は焼き芋を売っていたのですね。
香ばしい香り、今もその香りに誘われて、食べたくなります〜。
今週も秋を楽しみましょう。秋を見つけたら、また教えてくださいね。