東大寺「お水取り」から誕生した歌舞伎舞踊「韃陀(だったん)」

おはようございます。

 

あちらこちらで桃の節句を祝うお雛様の人形が飾られ、美しさにほんわかとした春を感じますね。

「桃の節句」。この言葉を聞いただけでも、心が浮き立ちますね。

 

草木がいよいよ生い茂る弥生月。

今月もどうぞよろしくお願いします。

 

菜の花黄色 2

 

奈良東大寺の「お水取り(修二会)」といわれる行事が3月1日から14日まで、二月堂本堂で行われています。

 

「奈良のお水取りが終わると春がくる」と、関西の方々にとって、この「修二会」は春を迎える行事なのですね。

 

「修二会」は752年から千二百五十年以上にわたって行われ、一度も絶えることがなかったという法会です。

 

「十一面悔過(じゅういちめんけか)」という行が行われます。

 

二月堂本尊である十一面観音菩薩に、万民に代わって、僧侶が懺悔の行を勤め、

天下泰平や五穀豊穣万民の平安を祈願するものです。

 

神道、仏教、民間信仰が入り交じっているような感がしますね。

DVC00102      十一面観音の須弥壇を飾る和紙の良弁椿の花拵え(はなごしらえ)

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「お水取り」の儀式では、13日午前1時半ごろ、井戸から汲み上げる「お香水(こうずい)」を供えるのだそうです。

 

「お松明(たいまつ)」は練行衆が宿所から二月堂に上堂するときに足下を照らす道明かりです。

満行に行われる「韃陀(だったん)」は、行のクライマックスで、参詣者も沸き上がるのです。

このとき、松明の火の粉をかぶると厄を祓い、無病息災を得ると言われています。

よくテレビのニュースでも見かける場面ですね。

 

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この満行に行われる「韃陀(だったん)」

大松明を抱える練行衆とお香水の器を抱える練行衆が向かい合って走り、飛び跳ねるというクライマックスを見た、先代の尾上松緑さんが「お水取りを舞踊化したい」という思いから発案したのが、

歌舞伎舞踊の「韃陀(だったん)」です。

 

この舞踊、テレビでちらりと白黒の映像が放映されたときには、本当に鳥肌が立ちました。

どうしても生の舞台を見たくて、京都の南座で見たときには、感動しました。

 

主人公の僧侶集慶と、“煩悩”の象徴として登場するこの青衣(しょうえ)の女人(にょにん)。

“荒行に疲れた集慶の心の幻影”として女人を捉え、青衣は“煩悩”の象徴。

ストーリーについては、東大寺に伝わる文書をヒントにして創作されたということです。

 

幻想的な雰囲気と艶やかな情感。

クライマックスの、集慶が大勢の練行衆と共に見せるダイナミックな群舞は圧巻です。

 

一度是非ご覧くださいね。

 

 

本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。

 

素晴らしい弥生月をお過ごしになられますように。

今月も幸あれ。

 

 

メジロ1