沽券地
Oct 20, 2016

沽券にかかわるとは

おはようございます。

「こけんにかかわる」という言葉、聞いたことがありますか。

「こけんにかかわる」というのは、

「品位、人格、体面にかかわる」という意味で使われていますね。

 

もともと「こけん」というのは、「沽券」とも書き、意味は売券のことでした。

 

江戸時代、地所や屋敷がこの沽券によって売買されていました。

今でいう「権利書」のことです。

「権利書」といえば、権威あるものとされていますね。

 

江戸庶民は約7割が借地で、その大半の30万人が長屋暮らしだったそうですね。

とすると、残りの3割の庶民は私有地で暮らしていたことになります。

この江戸庶民の私有地は町地といって、それは12もの種類があったそうです。

この町地は、古くから沽券によって売買されていたので、「沽券地」といったのです。

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そもそも、江戸時代には、現在の「地目」に類似した「町地」の制度があって、

江戸末期の土地の所有関係は、

町地20パーセント、官地寺社地40パーセント、武家地40パーセントの割合

だったそうです。

圧倒的に寺社地と武家地の占める割合が高かったのです。

 

ですから、江戸の庶民の大半は、熊さん、八つぁんのような狭い長屋暮らしがほとんどでした。

 

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沽券に添付されていた「券帖」は、不動産を得るときに作成され、

町の名手五人の奥印を受け、売り渡しの証拠にしていました。

また、親子、親族に譲渡する際は、沽券に継紙(つぎがみ)し、

押印を加えることになっていました。

現在の登記書の役割を名主がやっていたわけです。

この厳格さは、今でも土地や建物の売買にも引き継がれているのですね。

昨今の登記簿は電子化までされています。

 

「沽券にかかわる」という精神は、

現在の民法でいう「信義誠実の原則」の精神の江戸版ともいえます。

 

江戸庶民の心根、心映えを見るような気がします。

 

 

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