【七十二候から】44 「鶺鴒鳴く(せきれい なく)」
【七十二候から】44
「鶺鴒鳴く(せきれいなく)」
皆様、おはようございます。
「白露」の次候。
鶺鴒(せきれい)が鳴き始める頃です。
身近に見かける可愛らしい小鳥。
でも、すばしっこくて、すぐ逃げてしまいますね。
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尾の長い小鳥、白鶺鴒(はくせきれい)が歩く時、
長くスマートな尾を上下に振りながら地面を叩くようにする仕草を
「石叩き」「岩叩き」「庭叩き」と呼んでいます。
『古今集』では、鶺鴒を「稲負鳥(いなおせどり)」と詠まれているといいます。
これは鶺鴒が鳴く頃に、人が稲を背負って家の中に入るからとか。
稲刈りの時期でもあったのですね。
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『日本書紀』にも登場する鶺鴒です。
なんと、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が結婚したものの,
どうして子を持つか分からずにいたところ、
尾を振る様子からその仕方を教えたのが鶺鴒だったというのです。
そのおかげで、二神は日本国の国生みを遂げることができたということです。
「恋教え鳥」「嫁教え鳥」という異名もあるようです。
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こうしたお話から、鶺鴒は皇室の結婚の儀にも縁が深いとか。
チチィ、チチィと鳴くこの小鳥、日本の国生みでも活躍し、
古の昔より愛されてきたのですね。
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夏の夜は まだ宵ながら
皆様、おはようございます。
夏の夜は まだ宵(よひ)ながら 明けぬるを
雲のいづこに 月宿(やど)るらむ
清原深養父(きよはらのふかやぶ) 『古今集』
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夏の夜はとても短いものだ。
まだ夜になったばかりの宵の口だなあと思っていたら、もう明けてしまった。
これだけ明けるのが早いと、
月もとうてい西の山までたどりついて休むことはできないだろう。
今、月は空のどのへんにいるのやら。
雲のどこかに宿をとって、ぐっすり休んでいるのだろうか。
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「枕草子」の作者でもある清少納言の曽祖父が詠んだ歌です。
たった今、夜になったかと思ったらもう明けてしまった。
なんと夏の夜の短いことかと、月が雲にお宿をとったのだろうかと、言っています。
こんな風流な発想はお見事ですね。
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夜は暑くて寝苦しいと思うばかりではいけないようですね。
たまには夜、月を見る余裕を持ちたいものです。
今日も輝きが訪れますように。
お元気に、行ってらっしゃ〜い。