北原白秋
Jul 22, 2016
【七十二候から】34 「桐始めて花を結ぶ」
【七十二候から】34
「桐始めて花を結ぶ」
皆様、おはようございます。
最も暑い真夏の頃「大暑」を迎えました。
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桐の花が梢の高いところで紫の淡い色の花を咲かせるのがこの時期です。
古来から桐は鳳凰が宿る神聖な木として大事にされ、
「菊の御紋章」に次ぐ高貴な紋章として、
天皇家や武家で重んじられてきました。
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500円玉を見てみてください。
表に描いてあるのが桐なのですよ。
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娘が生まれたら桐の苗木を植え、
お嫁入りの時に伐採して嫁入り箪笥にするという習慣がありました。
大切な着物や衣類を保管してくれる大事な嫁入り道具ですね。
日本の暮らしの中で、桐は高貴な紋章として、
また身近な家具として(高価なものですが)息づいていますね。
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現代の生活の中からは桐の木も花も遠のいてしまっているように思います。
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詩人北原白秋は『桐の花』(1913年・大正2)という処女歌集を著します。
「桐の花とカステラの時季となった。」と、始まります。
文明開化の象徴であるカステラ。そして桐の花。
古いものと新しいものとが交錯しているように見えます。
恋い焦がれた女性への思いを綴った歌集『桐の花』。
恋心は「桐の花が咲くと冷たい吹笛(フルート)の哀音を思ひ出す」と、
こんな繊細な感性を心の奥から引き出したのですね。
ため息が出るようです・・。
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どうぞお体にお気をつけてお過ごしくださいませ。
今日も佳き一日になりますように。
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