おもてなしの心と「無事是貴人」
昨日もFacebookにたくさんのいいね と病院のおもてなしの心のあり方をいろいろお話いただきまして、ありがとうございました。
本当に私も勉強になります。
多くのことを教えていただきまして、心からありがとうございます。
昨日の茶の湯のお稽古で、師匠が掲げていた掛軸は「無事」という言葉でした。
今年も平穏無事に過ごせたことへの感謝の意を表す言葉なのかしらと思っていました。
多分これは、「無事是貴人(ぶじこれきにん)」という禅語からきているのだと思います。
臨済禅師が説いた言葉。
「無事是れ貴人。ただ造作することなかれ、ただ是れ平常なり」
「無事」とは「無為」のこと。
つまり何の造作をすることでも手を加えることでもなく、一切のはからいをしないこと。
平常心で行いなさいということです。
わび茶の茶会を催す亭主が無理な演出をして相手におおっと思わせたり驚嘆させたり、また、茶会に呼ばれた客人が亭主の心に迎合したり取り入ったりしないようにしなさいということです。
双方が相手を尊重し合い謙遜の心をもって、日々心を磨き技を磨き、いよいよ茶室という一期一会の空間をともにするときには、磨き合った両者がそこで平常心で向き合うということでしょうか。
とても高い境地のことを言っているようです。
病院は、身も心も折れそうな人が行くところですものね。
スタッフの皆さんの優しさや笑顔は天使のように見えます。
無償の愛のような心遣いに救われます。
さりげない日常の中に、常日頃の思いが醸し出されるものです。
本来のおもてなしの心は、この臨済禅師が説くように、
殊更わざとらしく演出するのではなく、自然体でありながら、そこには相手を思う深い尊敬と優しさや謙遜が込められている、それがじわっとにじみ出てくるものなのかもしれませんね。
日本のおもてなしトイレ
昨日ご紹介しました、ハワイのワイキキにある小児科病院、シュライナーズ・ホスピタル。
中で働く人のおもてなしの心に、心打たれました。
建物にもちょっとした工夫が施されていたのです。
二階建ての病院ですが、一階は魚を、二階は鳥をテーマにしていました。
病室に入ると、壁には魚の絵が、天井にはタツノオトシゴやヒトデなどの絵が描かれて、
枕もピンクやブルーの色を基調にした可愛い絵柄になっていました。
通路を歩くとそこにも海の生物たちがいっぱいいます。
二階には、手描きで鳥たちが描かれていました。
病室の内側のドアの上に二羽の綺麗な鳥が向かい合ってとまっていたり、応接の空間の壁には鳥たちが群れをなして飛び交う姿が描かれていました。
天井にまで絵を描いて、寝ている子供達の不安を取り除く工夫が凝らされているのですね。
エレベーターの前にも魚やハイビスカスなどのモザイク画がびっしりと描かれて、
これでは退院したくなくなる子供達の気持ちも分かります。
こんな手法を日本の病院も取り入れたら素敵ですね。
私はふと、日本もさりげないおもてなしを実践している高知県の「おもてなしトイレ」を思い出しました。
日本の「おもてなし」の心は世界に誇るべきもの。
こんな「おもてなし」を実践している行政を紹介します。
「おもてなし認定制度」を奨励している、
高知県県庁のおもてなし課。
2007年、「観光客をお迎えする環境を整える」目的で設立された部署です。
その一つの取り組みが「おもてなしトイレ」。
トイレを訪れた人に気持ちよく公衆トイレを使ってもらおうということです。
「おもてなしトイレ」となる条件は、
1.清潔である。
2.明るい(50ルクス以上)。
3.臭いがないこと、又は臭いを消す対策をとっている。
4.トイレットペーパーの予備を置いている。
5.洋式トイレが1カ所以上ある。
6.利用者への“おもてなし”がされている。
去年9月に第一号の認定を受けた、いの町の農産物直売所「レストパークいの」のトイレは、いつも花が飾られ、清潔で、爽やかな音楽まで流れていて、落ち着いた気持ちのいい空間だそうです。
この「おもてなし認定制度」は県内ですっかり定着し、施設や県民も全面協力。
トイレ事情は大幅に改善され、
県観光施設やコンビニエンスストアなど約530か所が、現在認定証を交付されているそうです。人気上場。この認定証、いいですね。
オリンピック会場となる東京の各地区が、そっくりそのままこの認定制度を導入したら、
日本の心、奥ゆかしき「おもてなし」の心とはこういうものかと、海外の人からもびっくりされることでしょう。
是非実現してほしいものです。
水の豊富な日本。
江戸も上下水道の設備がなされていました。
特に下水道設備は、当時のパリやロンドンよりも進んでいたのです。
江戸っ子の自慢。上水道。
「江戸っ子は水道の水で産湯を使い、乳母日傘(おんぼひがさ)で育つ・・・」
江戸の上下水道の設備の素晴らしさは、日本の自慢ですね。
そして、日本のトイレの素晴らしさ、アピールしていきたいですね!
ハワイ流おもてなし第2弾〜ホスピタリティー〜
先日、季刊誌「Smile」におもてなしの心を書かせていただきました。
「男は度胸 女は愛嬌」ということで、江戸の商家の女将さんは「笑顔」を大切にしていました。
「笑顔」はいい女の条件だったそうです。
その上、「目は口ほどにものを言う」と言われるように、目つきにも気を使っていました。
これは常日頃、どこでもお客様に接するようにしていたからこそ、自然にできたことなのですね。
ハワイ流おもてなし 第2弾
ハワイのワイキキにある小児科病院、シュライナーズ・ホスピタル。
2年前に建てられたというとても綺麗な病院でした。
ここは、善意ある人々の寄付で創設され、しかも医療費、入院費、薬代が全て無料ということです。外科を主にしている病院です。
ハワイ以外にも近隣の国々から治療を受けに来ています。
一歩この建物の中に入ると、清潔感があって、とても病院とは思えないところです。
日本で言えば、市や区の新しい施設に来たような、そんな感じでした。
スタッフの対応がまた素晴らしいのです。
さりげない笑顔。
そして、自然体で声をかけてくれます。
「やあ、よく来てくれたね。ありがとう。」
ここに1週間ほど入院すると、もう家に帰りたくなくなるそうです。
日本人はこんなふうにはなかなか言えません。
人は常日頃の思いや行動がふっと出るものです。
私たち日本人が見習うべきことだなあと、改めて感じました。
江戸のいい女の条件の一つは、「笑顔」だったそうですよ。
女性はいい女を目指して。
男性はハワイ流にいい男を目指して。
今週も笑顔で、福をいっぱい呼び寄せましょう。
今週もよろしくお願いします。
食物や穀物は豊受大神が担う
今年、伊勢神宮に参拝に行かれた方も多いと思います。
豊受大神がお祀りされている下宮を訪れると、森閑とした雰囲気が漂い、別世界に足を踏み入れた感じがして、清々しい気分になれます。
人によっては、もうそこで満足して、内宮に行かずに帰ってしまう人もあるそうです。
下宮入口
豊受大神(豊受気毘売神・とようけびめのかみ)は、天照大神の食事を司る女神です。
豊かさの象徴である食物や穀物の神様です。そして、米作りや衣食住すべてにかかわる産業の神様でもあります。
転じて、女性らしい優美さや女性性の象徴ともいわれています。
内宮の鎮座よりも500年も後、雄略天皇の御代に、天照大神の大御饌(みけ)、つまり食事を司る神様として、丹波の国から伊勢の国に迎え入れられたとのことです。
鎮座以来ずっと、毎日朝夕二度、天照大神にお食事を差し上げています。
『古事記』でも『日本書紀』でも、言われてきたことですが、豊受大神は、七代の最初に現れた神々の一神とされることから、伊勢神道(度会神道)を興した下宮の神職であった度会家行は、このように言っています。
天之御中主神・国常立神と同神であって、この世に最初に現れた始源神であって、豊受大神を祀る外宮は内宮よりも立場が上であると。
ところで、庶民の商売繁盛を願う神様としてのお稲荷さんと豊受大神とは、何か関係があるのでしょうか。
お稲荷さん(稲荷神社)は、朱い鳥居と、神使の白い狐がシンボルとなっている神社として、よく見かけますよね。
先日友人の 中島裕実さん にご案内していただいた、六本木の久国神社という稲荷神を祀る神社があります。
こんなところにひっそりとたたずむ閑静で由緒ある神社。
歓待を受け、大変嬉しく楽しい時間を過ごすことができました。
稲荷神(稲荷大神、稲荷大明神)は、現在の伏見稲荷大社(山城国稲荷山(伊奈利山))に鎮座する神様で、伏見稲荷大社から勧請されて全国の稲荷神社などで祀られる食物、農業、殖産興業、商業、屋敷を司る神様です。
どおりで、屋敷内にも祀られているわけですね。
稲荷神(お稲荷さん)とは、宇迦之御魂神(うかのみたま、倉稲魂命のこと)のことなのです。
神道の稲荷神社では、『古事記』や『日本書紀』などの日本神話に登場する宇迦之御魂神(うかのみたま)、豊宇気毘売命(とようけびめ)、保食神(うけもち)、大宣都比売神(おおげつひめ)、若宇迦売神(わかうかめ)、御饌津神(みけつ)などの穀物・食物の神様を主祭神としています。
ですから、豊受大神と稲荷神は食べ物を守護するという点で共通していますね。
でも、少し違いがあるようです。
下宮の引っ越し前の古いお社
実は、伊勢神宮の内宮のほうには、宇迦之御魂神(うかのみたま)が守護する稲の倉庫があって、御稲御倉神(みしねのみくらのかみ)と呼ばれています。
神宮神田(伊勢市楠部町)で収穫された抜穂(ぬいほ)が保管され、天照大神に献上されるのですね。
内宮でお稲荷さんが天照大神に捧げる稲穂をお護りし、下宮で豊受大神が天照大神のお食事を司っている。
天照大神に捧げるお米と稲穂。そして、その最高の祭祀者は天皇です。
葦原の国、瑞穂の国と呼ばれる日本は、稲作がいかに大切なもので生活に根付いているか、その一端をここでも見ることができます。
豊受大神を祀る外宮と内宮との関係や、お稲荷さんと豊受大神との関係など、
まだまだ調べればもっともっといろんなことが学べそうです。
日本のこころ〜世界に誇れる日本を目指して〜
今年、伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮が、
そして、出雲大社は「平成の大遷宮」と言われる60年ぶりの本殿の修造が完成した、
今年はおめでたい特別な年です。
日本が大きく変わっていく、そんな予感がします。
実は昨日は日帰りで伊勢神宮の参拝に行ってまいりました。
秋の暖かな一日でした。
清々しい気が参拝者を静かに迎え入れてくれていました。
ふと見上げると、「日本のこころ 伊勢神宮」という幕が目に入りました。
日本のこころ・・・
「日本のこころ」なのです。
奥深い言葉です。
大切にしたい思いです。
私の「日本のこころ」を動画にしました。
題して「喜恵子の “和のたしな美塾”」です。
どうか、皆様の魂に届きますように。
笑顔も世界一になあれ〜会釈のまなざし〜
今日も昨日に引き続き、笑顔のお話をしますね。
昨日、この微笑み返し(「すれ違いのまなざし」)の記事を書いた後、道を歩きながら、電車に乗りながら、人の表情を観察してみました。
道路工事のために通行する人を誘導するおじさん、すれ違うとき、無言です。
電車に乗って通路をはさんで座ったおじいさん、私の顔を怖い顔でじっと見ています。
時折、電車の中でじっと顔を見られていることがありますが、あまりいい気持ちはしないものです。
むしろ、どうしてそんなにジロジロ見るの?と、反感を買われるかもしれません。
みんな別に、悪気があるわけではないと思うのですが、あまりにも仏頂面の人が多すぎます。
別に怖い顔を意識的にしているわけではないのでしょうが、ちょっとほほえむとか、愛想がよいほうがその場が和みますね。
背広姿の男性が何やら慌てて出勤するときに、道を譲ってくれた女性に、ちょこっと会釈して、にっこり、お礼をする。
なんのことはないことなのですが、
この「会釈のまなざし」、
さりげないこの動作が自然にみんなができるといいなあと、思います。
毎朝、エスカレーターを使うとき、女性を押しのけて、我先に乗ろうとする男性の多いこと、多いこと。必死の様子で、しかも無言です。
日本人には「レディーファースト」なんていう概念がないんだなあと、つくづく思うのです。
「会釈」とは、もともとは仏教用語の「和会通釈(わえつうしゃく)」からきた言葉です。
異なる経典の中で内容が共通する部分をすり合わせるという意味だったそうです。
お互いに、ちょっとすれ違うときに、見ず知らずの人でも尊重し合う、そんな心のゆとりがほしいものです。
商品でもサービスでも、日本は世界一。
笑顔も世界一になれたらいいですね。
目は口ほどにものを言う〜江戸流すれ違いの眼差し〜
日本人が海外に行ってショッピングのためにお店に入ると、こんなふうに思われるそうです。
お店に入る時、無言で入って、あいさつをしない。
店員さんが話しかけても、無言でむすっとしている。
だから、怒っているように見えて何を考えているか、分からない。
そんなふうにしていませんか。
ハワイの人たちはとっても気さくです。
お店のカウンターで店員さんは、必ず、「こんにちは。元気?」と声をかけてくれますね。
道ゆく人も、エレベーターの中でも、卒なくあいさつをしてくれたり、微笑んでくれます。
ほんの数秒、
「どこから来たの?」「日本からです。」
「楽しい旅を。」「ありがとうございます! あなたも。」
幸先がよくって、その日一日の旅の楽しさが倍加しそうです。
一般的に日本人は瞬間的に微笑み返すことができないですね。
今は、そういう習慣がないからです。
いつからこんなふうになってしまったのでしょうね。
江戸の人は、むしろ相手に対して敵意がないことを表すために、
また、その場を和ませるためにも、挨拶や微笑みを実践していました。
道で人とすれ違うとき、言葉を交わさずとも、相手と目を合わせて、ちょっと微笑み、会釈する。
「目は口ほどに物を言う」ですね。
今日も微笑みを、そして微笑まれたら微笑み返しを。
この江戸流「すれちがいの眼差し」を、大事にしたいですね。❤️
ハワイ流おもてなし
ハワイ流のおもてなし
11月29日の夜。
サンセットディナークルーズで、船の上で夕食を楽しんでから、ジャズの生演奏やフラショーを堪能しました。
ディナーのお世話役は、ケイランちゃん。
「鶏卵」と覚えてくださいということで、忘れられない名前です。
黒人の男性です。
浅黒い肌に化粧をして、ちょっとニューハーフっぽい感じ。
いやあ、でも、彼らのおもてなしは、最高でした。
途中でドリンクを注文しても、そつなくジョークっぽい軽妙さで受け答えをしてくれます。
デザートが出て、もうこれでディナーも終わりかなという頃、みんなでスタンドアップ。
前の人の背中から両手を両肩にかかて、輪になって、動き始めました。
そうこうしているうちに、中心をみんなで向いて、音楽に合わせて、彼らのリードで踊り始めました。音楽もディズコ調で踊りやすい。
YMCAだとか、懐かしのジョン・トラボルタを思わせる曲だとか、さすが日本人に合わせた曲のセレクト。
「ワイ・エム・シー・エイ」と歌って、体で表現しながら、
どどっと、どどっと、どどっと・・・
あ、それそれ、それそれ・・・っと、
「どじょうすくい」のポーズが急に出てきたり・・、
ぎゅっと心をつかんで離さない。思わす笑ってしまって・・。
どこまでもサービス精神旺盛で、踊りまくる、踊りまくる・・。
私たちも彼らと一緒に踊りまくる、踊りまくる・・。
お客様を楽しませるだけではなくて、自分もとことん楽しむ。
これがハワイ流なのですね。
今もケイランちゃんの底抜けの明るさを最高のおもてなしを思い出し、また彼に会いたいなあと、そう思わせる彼らのおもてなしは、やはり最高でした。
おもてなしの極意を広報誌「Smile」が紹介
キャリアデザイン能力認定協会を運営する、
株式会社ZAC発行の広報誌「Smile」の
「輝く女性」コーナーに、私の記事を掲載していただきました。
この広報誌は、株式会社ZACのクライアント企業や個人会員の方限定に向けて発行しているものです。
全国に笑顔の和を広げていきたいというメッセージが込められています。
私が書かせていただいたコーナーは、
個人経営者、各業界で活躍されている方、未来の起業家など、
輝いている女性をご紹介するコーナーということです。
このコーナーへの投稿のきっかけは、
私が学んでいる講座、株式会社ZACの銀座ロイヤルスクールの、
マナースマイル教室の三上絢愛先生からお話をいただいたことです。
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三上先生との個人レッスンは毎回とても楽しく、
ちょっとした合間にお顔を見ながらお話することでとても癒され、
話が終わらなくなるほどです。
昨年からずっと続けてこられたのは、先生の教えてくださることはもちろんのこと、
お人柄によるところがとても大きいですね。
自分の隠れた魅力を引き出してもらえる、そんな喜びも毎回感じています。
私がこの教室に通い始めて大きく変わっていく姿をぜひ多くの人に知ってほしいと、
いつも三上先生はおっしゃっていました。
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この記事は次の質問事項に答える形で書いています。
1 現在の目標は何ですか。
2 どのような毎日の生活をしていれば、美が保てるのですか。
3 おもてなしの心で一番大切にしていることは何ですか。
4 読者の皆さんへのメッセージ。
記事の内容は以下のとおりです。♡
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http://derivejapan.com/voice/smile/
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お天道様と米の飯はついてまわる
お米は日本人が大切にしてきた特別な食べ物です。
江戸時代、ちょうど3000万人ぐらいの人口だった1720年から1860年の間は、太陽のエネルギーだけでちゃんと自給自足ができていたそうです。
3000万人ぐらいの人口なら、太陽エネルギーだけで生きていけたのですね。
今は1億2600万人以上の人口を抱え、もう江戸と同じようにはいかなくなりました。
すべてが急激に変化してしまい、太陽への恩恵もさほど感じなくなってきたように思います。太陽以外のエネルギーが生み出され、たくさん消費されています。
今でもお米には日本人にとって、特別な思いがある食べ物です。
お米だけではなく、わらの用途にもこんなバリエーションがあったのです。
今では、わらが余り出ない品種改良がされていますが、江戸時代には、わらがなるべく多くとれる品種づくりをしていました。
それはなぜだったのでしょうか。
わらの用途の半分が堆厩肥(たいきゅうひ)、3割が燃料、あとの2割がわら製品だったのです。
わら製品には、敷物、履物、米そのものを詰める俵、都市江戸でも男の履物としてのわらじや草履などがありました。
このリサイクルには目を見張るものがあります。
燃料は燃やすとわら灰になって、農家は田畑に肥料として入れたり、灰を買う商売の人、灰買い屋が来て、紙すきだとか、釉薬(うわぐすり)にもしました。
はきつぶしたわらじや草履は、町の辻に捨てる集積所があり、それもまた堆肥にしたり、お風呂屋さんが燃料にしたりしました。
毎年とれるお米とわらを合わせた1000トン近くが、1年たつと綺麗に再利用されて、無くなるのです。その循環に使われているのは太陽のエネルギーだけでした。
今年も新米をいただきながら、丹精込めてつくってくださった方々に感謝をしつつ、お天道様にもお礼を心の中で述べたいですね。