和暦の暮らし
Dec 19, 2013

浅草の「羽子板市」

皆様、おはようございます。

うつくしき羽子板市や買はで過ぐ         高浜虚子

浅草浅草寺で有名な羽子板市(12月17日〜19日)は、今日までです。

 

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羽子板市の歴史は江戸時代にさかのぼります。

江戸時代貞享年間(1683~87)の頃、江戸浅草観音の境内で正月用品や縁起物を売る店が集まり、「歳の市」と呼ばれましたが、

江戸随一の市として賑わい、そこで「羽子板」も売られていたそうです。

 

明治中期から主要販売が始まり、昭和25年頃には「羽子板市」として歳末の風物詩に定着しました。
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羽子板市女性の売り子無料

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江戸情緒ある歌舞伎の絵柄に加えて、話題の社会風刺、時事や人気タレントなどを題材にした変わり種羽子板など多彩な作品が販売されます。

今年は、人気ドラマの「あまちゃん」でヒロインを演じた能年玲奈さんと「半沢直樹」で主演の堺雅人さんが並んだユニークな羽子板や、プロ野球楽天の田中将大投手の羽子板も見ることができます。

 

私の英語版ホームページのトップページに載せている羽子板もこの浅草の「羽子板市」で買ったものです。
当時、3000円で購入しました。
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日舞の舞台前の総ざらいのお稽古の帰り、もう市が閉まる寸前でしたので、安くしていただきました。「藤娘」の羽子板です。日本舞踊を代表する演目の一つですね。

思い出の羽子板になりました。
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 English-site

 

 

 

Nov 7, 2013

男心と秋の空

今日は11月の2日目ですね。

(陰暦10月)は、陽気が春のようで温かいことから、「小春(こはる)」と

呼ばれています。

 

漁師さんたちの言葉。

「秋の空は一日七度変わる」

 

低気圧と高気圧が日本の上空で交互に入れ替わるために、お天気が変わりやすいからこういう現象が起きるということですね。

2013-11-02 09.40.52

秋の空は晴れていたかと思うと、突然曇ったり、急に雨が降ったりするので、海の男たちは警戒したのです。

 

よく言われるのは「女心と秋の空」。

女の心は七変化。つかみどころがないということでしょうか。

でも、最近は「男心と秋の空」ともいう人がいますが、いかがですか。

 

 

 

 

Nov 7, 2013

入日色〜小さい秋みつけた〜

「はぜの葉あかくて 入日色

   ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた」

 

『小さい秋みつけた』の3番目の歌詞です。

「入日色」という言葉に、温もりを感じますね。

 

『小さい秋みつけた』の作詞者のサトウハチローは、

この歌の詩について、

病弱ゆえに『原稿用紙を前に布団に腹這いになって外を見ていたら赤くなったハゼの葉を見て、

言い知れぬ秋を感じて、この歌を書き上げた』と、

書いているそうです。

 

彼が住んでいた東京都文京区弥生の自宅の庭のはぜの木が紅葉していく様子を見ながら

つくった歌詞なのですね。

このはぜの木は、現在後楽園駅近くの礫川公園に移植されているそうです。
この『小さい秋みつけた』は、『里の秋』と同じく、

日本の歌百選に、2006年に選ばれました。

 

親子で永く歌い継いでほしい。

 

そういう願いを込めて、日本人がつくった童謡や唱歌、歌謡曲など、

叙情歌や愛唱歌101曲が選ばれています。

 

永く歌い継いでいきたいですね。

 

農家の軒下

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今日のような雨の日には、家の中で、お子さんとご一緒に、また、一人でしっとりと、

こんな日本の叙情歌に触れるのもいいものです。

 

秋の風情〜音、色、風、味覚、そして秋祭り、十五夜・・・

 

そうそう、十五夜には、

江戸の人はすすきと米粉の団子かお饅頭15個をお供えするのが決まりだったそうです。

 

江戸のお話はまた次週に。

 

Nov 7, 2013

父との思い出の曲『里の秋』

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

私が秋になると思い出す歌、

それは父との思い出の童謡『里の秋』です。

 

 

静かな静かな 里の秋

お背戸に木の実の 落ちる夜は

ああ 母さんと ただ二人

栗の実煮てます 囲炉裏端

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小学生の頃、郷里の家の二階でこの曲をオルガンで弾いていた時、

外の庭にいた父から、やめないでもっと弾いてくれと、言われたのを覚えています。

 

当時父は、宮城の気仙沼港を寄港として、主にマグロ漁業船の無線通信士をやっていました。

父親(私から見れば祖父)が病弱で入退院を繰り返していたためにお金が必要だったのです。

 

あるときはアリューシャン列島まで、あるときは北海道までと、父は遠出をしていたので、

家に戻るのは年に、二、三回程度でした。

 

父が40歳の時、陸に上がりました。

その直前に乗らないかと誘いを受けた船に、気が進まず辞退したらしいのですが、

その船は洋上、転覆してしまったそうです。

 

 

父はそれを辞退したことで命拾いをしました。

まさに、「板子一枚、下地獄」の世界が海にはあります。

 

父が今も生きていられるのは、目に見えない人生の大きな選択をここでしたからでしょう。

 

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栗

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この童謡『里の秋』は、

1945年に敗戦により失った領土からの引揚者の激励のためにNHKのラジオ番組で放送されたものだそうです。

 

私の父もこの曲を私にリクエストをしたのも、何か敗戦のころの思い出があったのかもしれません。

 

 

明るい明るい 星の空

鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は

ああ 父さんの あの笑顔

栗の実食べては 思い出す

 
父がその後もしばらくの間 、海に出ていたので、

秋になると、この曲を思い出しては涙がこぼれたものです。

 

秋がやってくると思い出す『里の秋』です。

 

皆様も何か秋の思い出はありますか。

 

 

今日も台風の行方が気になりますね。

素晴らしい一日にしましょう。
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栗木さん14 のコピー

 

Nov 7, 2013

稲刈り

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

実りの秋、食欲の秋でもありますね。

もう新米を召し上がっている方もいらっしゃることでしょう。

 

稲刈りは終わりましたか。

 

農家では、初夏の忙しさとはまた違った忙しさに追われる時期ですね。

早生は9月中に稲刈りがされますが、大部分は10月に入ってからではないでしょうか。

 

例年ですと、10月中旬は晴れた日が続きます。

 

今は機械で稲刈りも順調に進みます。

 

機械がない時は、爽やかな鎌の音が響き渡りました。

 

 

順礼や  稲刈るわざを見て過る           (正岡子規)

 

 

秋の風情を感じさせるもの、昔は天高き青空の下で、

鎌の音が心地よく鳴り響いていたのですね。

 

刈った稲は束ねられて、稲架にかけられて干し連ねられます。

また沼田では幾列か稲を刈り残して伏せた上に、刈り稲をのせる、

そういうところもあるのですね。

これは今でも行われているのでしょうか。
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秋稲の実り

 

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新米の美味しさは、また格別ですね。

 

秋の風情を感じさせるもの、新米。

大自然と人との共同作業で生み出す、まさしくきらきらと輝く宝物ですね。

草刈つて 飛鳥道のさびしさよ        (日野草城)

 

台風が心配されますね。お気をつけてお過ごしください。

今日も豊かな秋を感じる一日になりますように。
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おにぎり のコピー

 

 

Nov 7, 2013

砧(きぬた)〜秋のものがなしさ〜

秋の風情を感じさせるもの、どんなものが思い浮かびますか。

かつて女性の夜なべ仕事であった「砧(きぬた)」

その音が秋の夜のあわれさを誘うということで、昔から詩歌などによく詠まれてきました。

 

砧は、アイロンがない時代に、洗濯した布を生乾きの状態で台にのせ、

たたいて柔らかくしたり、皺をのばすための道具でした。

 

昔は、夜になるとあちこちの家で砧の音がしたそうです。

 

日本の家庭では、明治時代、炭を使うアイロンが普及したため、すたれてしまいました。

今では、わらを打ちやわらげたり、紙の原料を作るために使われるだけにまってしまいました。

能の演目「砧」では、女主人公が砧を打つことが情念の表現になっています。

晩秋の物悲しさとともに、夫の留守宅を守る妻の悲しみが描かれています。

古来より人々に好まれてきた能です。

砧を打つ音。

物悲しさ。

これも秋の風情ですね。

 

 

 

憂き我に 砧うて 今は又止みぬ        (与謝野蕪村)

 

 

秋の風情、皆様はどんなものをイメージしますか。

素敵な秋の一日をお過ごしくださいね。
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竹垣・秋

 

 

Nov 7, 2013

えびす講

10月20日は「えびす講」でした。

出雲に全国の神様が集まる10月。

恵比寿様だけが地元に残って留守番をしているのだそうです。

 

その恵比寿様をお慰めしようということで、「えびす講」が始まったといわれています。

 

えびす講は、商売繁盛、豊作を願って恵比寿様にお詣りする日です。

 

 

今週もよい週になりますよ。

大前神社えびす様

 

Nov 2, 2013

漁師さんの「天気を読む方法」

漁師さんの天気観測法

 

海に生きる男たちに代々伝えられた天気観測法です。

 

「近い山が遠くに見えるときは雨が降る」


湿度の関係で、近い山が遠くに見えるらしいのです。
湿度の高い空気がくることは、南からの前線が張り出していることで、
これが冷たい空気に触れると、雨になるので注意ということです。

 

 

「突風は小潮回りに多い」

 

大潮どきには雨の降る日が多いといわれています。
これは学問的な裏付けというよりも、長年の経験で言い継がれている言葉です。

 

 

「夜明けの小雨と女の腕まくり」

 

前日まではきれいに晴れていたのに、夜明け頃になって小雨が降り出すことがあります。
この雨は長続きせずに、すぐにやみます。
女の腕まくりと同じで、大した雨ではないということですね。


海朝日

「上げ潮どきに降り出した雨はやまない」

 

引き潮どきに降り出した雨は、間もなく止むが、満ち潮時に降り出した雨は1、2日続く。
この雨が止むのも、引き潮のときが多いということです。

 

 

「秋の空は一日七度変わる

 

秋の空は、晴れていたかと思うと、突然曇ったり、急に雨が降ったりする。
この変わりやすいお天気を「女心と秋の空」ともたとえられます。

 

 

 

「上下の雲が正反対に流れるときは風雨がある」

 

空を見てこんな状態になっていたら、要注意ですね。

 

 

 

 

漁師さんの生活は、天候とは切っても切れないものですね。

天候には特に気を使います。

漁師さんの父祖代々伝わるという天気観測法をご紹介しました。

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海と島の夕陽

 

 

 

 

 

 

 

Sep 13, 2013

重陽の節句

皆様、おはようございます。

今では忘れがちな「重陽の節句」。

「菊の節句」ともいわれます。

9月9日は「9」が重なるところから、「重陽」としてお祝いしました。

菊が咲くこの時期、菊の香りを楽しむのもいいですね。

菊は、仙境に咲く花と考えられました。

平安時代、宮中では「菊酒」を酌み交わす行事が行われたそうです。

「菊酒」を飲んで、邪気を払い、長寿を願ったのですね。
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重陽の節句の前日に、こんなこともしました。

「菊被綿(きくのきせわた)」です。

この重陽の節句の前日に、菊に綿をかぶせて香りを移し、翌朝、露に湿った綿で顔や身体を拭いて、邪気を払いました。

枕草子や源氏物語にも「菊水」などの言葉が出ています。

優雅です。菊はそんなに香り立つものだったかなあと思いますね。

色々なところで菊の品評会や菊人形展が開催されますね。

菊

長崎では、9月9日を「お九日(くんち)」として、

旧暦の日に収穫祭と習合して「長崎くんち」でお祝いするそうです。

季節を肌で感じるいろいろな行事。

自然現象から実際の体験を通して知る「暗黙知(あんもくち)」。

江戸の人が子どもの教育にも大切にしたことです。

今こそ子供たちに体験してほしいですね。

今週もよろしくお願いします。
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オレンジ色の紅葉

 

 

Sep 11, 2013

「風の盆恋歌」

皆様、おはようございます。

「蚊帳の中から 花を見る

咲いてはかない 酔芙容」

石川さゆり『風の盆恋歌』
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胡弓の哀愁漂う音が胸に響きます。

富山県八尾(やつお)の人々が守ってきた「おわら節」の民謡行事。

「越中おわら風の盆」ともいわれます。

今日3日までです。

この八尾は立山連峰を越えて日本海から強い風が吹き込む土地。

この風が稲作に深刻な被害をもたらしてきました。

そのため、「風の盆」は風を鎮める「風祭り」と「盆踊り」が一つになって変化した風習だとか・・。

三味線と太鼓、胡弓の独特な調べにのって、無言で踊る「風の盆」。

無言なのです。

その哀愁漂う光景から小説やヒット曲『風の盆恋歌』などが生まれました。

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編笠をかぶって無言で踊る姿に、優美な色気が漂います。

言葉にはならないものを心で感じる。

まさに「空気を読む」感覚。

見る側も、言葉ではなく無言で心で感じる感覚。

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きっと、大自然をいつも身近に感じていたら、もっと深く味わえるような気がします。

心豊かに感じること。江戸の人々もとっても大切にしていたことです。

今日も「お心肥やし(おしんこやし)」でいきましょう〜。
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おわら風の盆

 

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