秋祭り。
稲作の始めと終わりに際し、
春に神様を田におりてくるのをお迎えするのが春祭り、また山に帰るのを送るのが秋祭りです。
田の神様への祈願と報恩の意を表したこの氏神祭りは、
年に2回春2月(または4月)と秋11月に行われていました。
日本人にとって、新米も新酒も意味深く、天からの嬉しい贈り物ものですね。
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江戸時代、日本の中心であった京都から新興都市の江戸へ運送された上等な産物を「下りもの」と呼び、
江戸近郊で作られた産物を「下らないもの」として一段低い立場においたのですね。
上方からは米や酒など上質なものが入ってきて、高値の取引がされました。
一番の人気が「富士見酒」。
富士山を左手に見ながら江戸湊に入ってくる新酒です。
樽の杉の香りと新酒が波でブレンドされて、ほどよい香りとマイルドな風味になって、
産地で飲むより江戸で飲んだほうがずっと美味しいお酒になったのです。
特に最初に到着した樽は大変な高値がついたとか。
秋口から冬にかけて、隅田川河口は大賑わい。船で大渋滞です。
新川に並ぶ酒問屋では、赤い法被の若い衆が、日の丸のついた扇子をかざして、
新しい荷が到着する度に囃し立て、小売の人も利き酒を楽しみ、
どれを買おうか迷っているうちに酔っ払う人も多かったとか。
江戸時代、活気を呈した船での物流。
新酒の時期は、まるでお祭りのようでしたね。