おもてなしの言葉7「ことほぐ(言祝ぐ)」

「新郎新婦の前途を祝して、乾杯〜!」

「祝して」という言葉が私は大好きです。

ご祝儀舞踊の歌詞にも、この言葉がよく使われます。

 

日常に使いなれた言葉「祝う」をさらに高めた言葉が

「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」です。

古代日本では、祝いの言葉を述べる事を「ことほぐ(言祝ぐ)」といい、

「こと」は「言」、「ほぐ」は動詞「祝く(ほく)」を意味します

これは、もともとは漢字の「寿詞や寿賀」に由来したもので、

「ことほぐ(言祝ぐ)」を「寿」の訓としましたので、

「言祝ぐ」とも「寿ぐ」とも書くようになったのです。

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この言葉には、

 言葉を口にすることによって、幸福を招き入れるという言霊思想が宿っています。

 

平安時代以降、「ことほく」から「寿ぐ・言祝ぐ(ことほぐ)」や「寿く(ことぶく)」ともいうようになり、

「ことぶく」の連用形が名詞化して「寿(ことぶき)」になったということです。

 

「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」には、

 おめでたい言葉を口にすると、本当に幸せが訪れると、

そういう先人の思いが込められていたのです。

 

梅の花や河津桜は満開を迎えて、

「春の訪れを言祝ぐ」

結婚式で、新郎新婦に対して、

「ご結婚を言祝ぎ、舞をひとさし・・・」

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日本は発する言葉に特別の力があるとして、言葉を大切にしてきた国です。

美しい言葉、相手にも心地よい言葉、自分にもポジティブに語りかける言葉は

相手も自分も癒され、新たなエネルギーの交歓が生まれますね。

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この「ことほぐ(言祝ぐ・寿ぐ)」にも、

相手に対する末広がりの幸福や長寿が現実のものとして叶いますようにと願う、

そんな優しい思いが込められていることを覚えておいてくださいね。

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