おもてなしの言葉6「ほんのお口汚しですが」

日本には謙遜の言葉がたくさんありますね。

この言葉もその一つです。

「ほんのお口汚しですが。」

今この言葉を使える人がいるでしょうか。

「お口汚し」というのは、口の中を汚すまずいものという意味ではなく、

口の中を汚すだけのほんのわずかな量ということです。

お土産を人様に差し上げるとき、

お酒の肴としておつまみを出すとき(大皿ではなく小皿料理)、

「ほんのお口汚しですが。」

と、使ってみたいですものね。

こういう言い方もありますね。

簡単に、「お口汚しですが。」

前回ご紹介した言葉、「お口に合いますかどうか・・・。」

そう言いながら、

大切な年長者や目上の方にお渡ししたら、

お口に合わないかもしれませんが、

どうぞ召し上がってくださいませ、

という謙遜を込めた表現になりますね。

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お着物を着て相手の方のお宅にお伺いする際、

座敷で風呂敷の包みを開いて、

相手の方に菓子折りをそっと差し出す時、

「ほんのお口汚しですが」と、ひと言。

そんな日本の古来の風習の光景が目に浮かびますね。

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同世代の友達に使うにはちょっと不向きかもしれません。

でも、知っておくと、いざという時には

さりげない奥ゆかしさを発揮できると思いますよ。

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謙遜、相手に対してへりくだるという心を大切にする風習が薄らいできている昨今です。

真心を伝える素直さ、相手の心遣いを理解する心のゆとり、

それはやはり日本人の美徳の一つだと思います。
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