江戸の紅葉といえば、南の品川鮫洲の「海晏寺(かいあんじ)」が有名どころの
一つだったようです。
海晏寺は鎌倉時代、執権北条時頼によって創建された(1251年)といいます。
その後衰退していた寺を徳川家康が江戸入府(1590年)後に再興させ、江戸時代は徳川家の庇護を受けました。
海晏寺は、品川沖で上がった大きな鮫(さめ)の腹の中から観音像が発見され、それを安置するために創建されたという由緒をもっています。
鮫洲(さめず)という地名もこの鮫からきているのだそうです。
このお寺はかなり広さがあり、山あり泉ありと、とても立派なもので、紅葉も晩秋になると庭一面がまるで錦繍(きんしゅう)を広げたようだったといいます。
山々も海も夕日が照るころには紅一色に染まるほどの美しさだったそうです。
だれしもが酔いしれた紅葉の名所でした。
ところが、明治初期に伐採され、関東大震災や空襲で無くなってしまったというのですから、
とても残念なことをしましたね。
写真:あきる野市にて
岡本好美さん撮影