前回の円応寺から大分北鎌倉駅方向に戻ったところ、
長寿寺の脇から、亀ヶ谷(かめがやつ)坂切通しに入ることができます。
三方を山で囲まれた鎌倉とその外部とを結ぶ道は七つあり、
鎌倉七切通し(七口とも)と呼ばれていますが、
この亀ヶ谷坂切通しもその一つ。
円覚寺や建長寺のある山ノ内と寿福寺、英勝寺のある扇ガ谷を結ぶ経済的にも軍事的にも重要な切通しとして活躍しました。
1180年源頼朝が安房から大軍を引き連れて鎌倉入りしたときは、この切通しだけが北から入ることのできる唯一の道であったとのことで、由比ガ浜の元八幡(由比若宮)に向かったと伝えられています。
この亀ヶ谷坂の山ノ内側に六体のお地蔵さまがひっそりと祀られています。道に気を取られて歩いているときっと気が付かずに通り過ぎてしまいそうな、古びた六体のお地蔵さま・・・。
いわれも何も書かれてはいないのですが、通るたびに気になって手を合わせます。
鎌倉駅西口から御成小学校前を通り鎌倉文学館に向かう途中の交差点にも、六体のお地蔵さまが祀られています。
鎌倉時代、その近くに刑場があり、そこで処刑された罪人たちの霊を慰めるために建立されたものといわれます。
六体のお地蔵さまをお祀りするのは、死後に輪廻転生する世界(生きている間も六道輪廻をしているのですが)、
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人閒・天の六道に合わせ、それぞれのお地蔵さまが苦しんでいる衆生を救ってくださるという信仰に基づくものです。
そうだとすると、亀ヶ谷坂の六地蔵は、新田義貞の鎌倉攻めの際この切通しでの戦いで亡くなった武士の霊を慰めるためのものなのかも(仮粧坂切通しの激戦が有名ですが)・・・・・。
そんなことを思いながら、昼なおほの暗い亀ヶ谷坂切通しを歩きました。
道端で見つけたミツマタ