原点回帰〜日本舞踊公演『創国記』〜

今年は伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮の年。 

そして、出雲大社は「平成の大遷宮」と言われる60年ぶりの本殿の修造が完成したお祝いの、特別な年ですね。

「遷宮」は、ご神体を本来の場所から移して社殿を修造し、再びご鎮座いただくことです 。

大屋根の葺き替えや銅板塗装など大規模な修造を行うことから、
御本殿の新築祝いのように捉えられがちですが、

本来の意味は、神様が鎮座されたその時を再現する、
いわば「原点回帰」だそうです。

日本舞踊協会が新作公演として、出雲大社のご祭神大国主命(オオクニヌシノミコト)の『「創国記」〜神々の宿命〜』を国立劇場小劇場で上演しています。

大国主命と言えば、鮫に体の皮をむかれてしまった因幡の白兎を助けた、

優しい心神様としてよく知られていますね。

その後、多くの苦労を乗り越えて美しい須世理比売(スセリヒメ)と結婚し、

ほかの神様と協力して、国造りに努力されたとされています。

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「愛と不屈の精神」がこの作品のテーマです。

主人公オオクニヌシは、原始の荒野に立ち向かい、愛する人たちのために住み良い環境造りを目指していきます。そして多くの神々が同じ目的をもって彼の元に集まり、ともに様々な困難を乗り越えながら、国造りをしていきます。

舞踊家たちは踊りで風、光、火、木・・、喜び、愛、怒り、嫉妬、悲しみ、死、再生・・、様々なものを表現していきます。

音楽は舞台正面後方に、アフリカの伝統楽器「マリンバ」のSINSUKEが心地よいサウンドを響かせます。素晴らしい調和の舞台です。
NHKで後日放映予定です。

「遷宮」とは「原点回帰」。

それは “はじまりのとき”に立ち返るということ。

今再び、この平成の時代、国造りは続き、私たちもその中にいるのですね。