七夕にちなんで、清元『流星』

7月7日は五節句の一つ、七夕ですね。
七夕は、織女と牽牛がこの日だけ天の川をはさんで会うことを許されるという、
古代中国の「星伝説」からきています。
日本古来の習慣、乙女「棚機女(たなばたつめ)」が機屋で神の神衣を織ることを「たなばた」と言いました。
神の衣は豊作をもたらすとされていました。

この二つが結びついたのが七夕の習慣です。

清元舞踊『流星』は、七夕の夜の天の川が舞台です。
牽牛と織女が一年に一度の再会をやっと果たしたところへ、
錦の唐装束の流れ星(夜這星・よばいぼし)が現れるというセッティングです。

牽牛と織女にとっては、去年の長雨のために、船で川を渡れず、逢瀬を楽しむのも三年越し。やっと会えたという感極まるところへ、流れ星が「ご注進、ご注進」と割って入ってくるのです。

空気を読めないというところでしょうか。

何があったのかと、牽牛が尋ねると、同じ長屋に住む雷の夫婦が喧嘩をしたとのこと。

流星はその様子を面白おかしく語っていきます。

写真 2013-06-01 18 47 45当世はやりの端唄(端唄の師匠?)に熱を上げている雷亭主にやきもちを焼く女房、

雷のゴロゴロが端唄風になってなんだか様子が変な亭主、その二人の会話と喧嘩。

そこに寝ていた子も起きてきて、しまいには婆さん雷も巻き込んでのてんやわんやの大騒動。

舞踊家としては、一人でこの夫婦喧嘩のあらましを面を取っ替えひっかえして、四役こなすという、表現のしどころが大変難しい演目です。

見る側にとっても、この雷夫婦や可愛い子と入れ歯の雷婆さんとの掛け合いの場面が非常に楽しくユーモラスで、見物です。
歌詞の中に端唄がちょこちょこ出てくるところや面一つでその人物を表現するところなど、見所満載です。

七夕の夜、天の川での出来事を語る清元『流星』。いかがでしたか。