おはようございます。
今日は端午の節句ですね。
鯉のぼりがはためく青空の下、
お子様やお孫さんと柏餅を召し上がるのも楽しみの一つですね。
粒あん、こしあん、味噌あんなど、いろいろ種類があって、
どれにしようかと、迷ってしまいますね。
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藤の花が美しい季節になりました。
藤の花と言えば、歌舞伎舞踊『藤娘』を連想します。
藤の大枝をバックにして黒い塗笠をかぶった女性がひと枝の藤の枝を片肩に担いで、振り返るシーンから舞台は始まります。
歌舞伎役者六代目尾上菊五郎(現菊五郎の祖父)が考えた舞台演出。
バックに松の大きな幹にふさふさの大きな藤の花をからめたのは、
自分を小さく、可愛らしく見せるためだったそうです。
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琵琶湖の南岸、三井寺(みいでら)門前で売られている土産物の大津絵の中に、
藤の枝を担いだ女性の絵がありました。
この大津絵には「良縁を得る」という意味もあったそうです。
大津絵から絵が抜け出して絵師の災厄を救ったという逸話から、
それが三井寺の仏画となり、
除災招福の札として全国に広がったともいわれています。
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長唄『藤娘』は、
「人目せき笠 塗笠しゃんと 振りかかげたる一枝は
紫深き水道の水に 染めて嬉しき由縁(ゆかり)の色の
いとしとかいて藤の花 エゝ しょんがいな……」
と、始まります。
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江戸の文政9年、大阪の歌舞伎役者 二世関三十郎が、
故郷の大阪へ帰るときに、江戸のお客様にお名残惜しやという思いで、
大津絵にちなむ五変化の所作事を舞った舞踊の一つがこの『藤娘』でした。
甘く匂う、深い紫色の藤の花を流れる水に浸すと、
水の色が「由縁(ゆかり)」、
つまり紫(ゆかり)の色になったということです。
水の清々しい清らかさと、藤の花の美しく新鮮で甘美な藤色が溶け合っている様子、
美しい世界の表現ですね。
また「紫」とは江戸のことを意味します。
「紫深き水道の水に」とは、私も江戸の水にも馴染みましたと、
大阪出身のこの役者さんが江戸のお客様に対してお礼も込めて、
そう表現したのですね。
江戸の水になじみ、江戸のお客様とのえにしが深まったと、
この二つを掛け言葉にしたのでしょう。
言葉の意味を考えいくと、より一層舞踊も楽しめますね。
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水は命の源泉。
稲作も農作物も水がなくては育ちません。
また、美味しい日本酒も、美しい友禅染めも、
清い水があってこそ味わえるものですね。
本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。
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“和のたしな美塾” 講座。
5月は少し趣向を変えて江戸吉原のお話をします。
どうぞ遊びにいらしてくださいね。
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