日本食は「唇文化」

日本食は「唇の文化」だと、

日本の和食文化を世界無形文化遺産に申請した熊倉先生が、

そうおっしゃっています。

唇に触れるもの、例えば、箸、ご飯のお茶碗、湯飲み茶碗など、

それぞれ自分のものを持っていますよね。

「マイ箸」なんていって、そんな商品も売れていました。

それは日本人の潔癖さの表れでもありますし、繊細さの表れでもあります。

熱い汁を吸うとき、日本人はスプーンを使わずに、

お椀を手に持って口をつけてすすります。

すするというのは、そこに空気を入れて暑い汁を少しさまして飲み込みことなのですね。

音を出してすすること、外国人には違和感があるでしょうが、

ちゃんと理にかなっていることなのですね。

うどんが主流だった江戸時代に、「そば切り」を猪口(ちょこ)に入れたつけ汁で

威勢よく食べる食べ方や、蕎麦をすする音が江戸っ子に大変人気で、

蕎麦のほうが好まれていったということです。

「すする」という文化なのですね。

箸というのも、細かな作業をするものです。

尖った先で食べ物を小さくちぎったり、さばいたりします。

それを口に運んで食べているのです。

考えてみれば、

巧みな技を、日本人は日常的に食事の中で普通に行っているのですね。

さて、あなたは、箸の持ち方はちゃんとできていますか。

箸と食器