立冬〜裏技「表まさりの裏小袖」江戸の男の美学

冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也

 

昨日、立冬を迎えましたが、

暖かい日もあれば、寒い日もあって、日々いろいろに変化します。

 

それでも、北国からは初雪の便りがもうすぐ届きます。

もうそういう時期なのですね。

 

 

 

昨日お話しました江戸の着物で人気の鼠色。

これは黒から白まで100種類もあったというから、この感性と技術たるや、現代人もかなわないほどです。

 

江戸の中期までは上方主導の文化でしたから、着物も色目が華やかな友禅染めや、刺繍、総絞りなどを施していました。

 

ところが、後期になって、衣装に関する幕府の禁令が度々出たのです。

それまで町人の富裕層が衣装にも贅を尽くしていたのでしょう。

2013-11-08 09.29.09

豪華な衣装を持っていても着てはならぬ、

値は二百五十匁限りとか、縫いのある衣類は禁ずる、とか。

 

そこで引っ込まないのが江戸っ子の意気です。

 

地味な色にもグラデーションをつける。

「四十八茶百鼠(しじゅうはつちゃひゃくねずみ)」なるものもうまれました。

 

町人上層の主に男性が考えた「表まさりの裏小袖」。

 

表は無地や縞柄で生地も木綿など質素に見えるのに、裏地は絹などにして凝った模様を染め出すなど、実はたいへん贅沢なことだったのですね。

 

男性の羽裏の柄の素敵なことは今でも語られていますね。

 

江戸後期に独特の美学が生まれたのは、むしろ幕府の規制があったればこそですね。

しかも、それを逆手にとって、新たなおしゃれを生み出す。

 

ただでは起きぬ江戸っ子の心意気。

 

今日もその気骨をいただきです。

 

お心肥やしでまいりましょう。