茶人が行う「炉開き」。
これは「口切(くちきり)の茶事」とも呼ばれます。
その年の初夏に摘んだ新茶をまろやかにするために茶壺の中で茶葉を熟成させます。
「炉開き」のとき、口封を切ってその葉茶を取り出し,茶臼で挽いて抹茶にしていただきます。
これは「茶の湯の正月」ともいわれ、重要な茶事です。
そして、茶道ではこのころからお正月になります。
床に飾られた新茶の壺の封紙を切って茶葉を挽き、茶を点てる茶事。
鉄釜で煮たてた湯とまろやかな茶をお客様に差し上げる。
言葉はいらないですね。
最高のおもてなしです。
さて、江戸っ子の着物の好みは渋い色合いの無地が基本でした。
これは「雀の羽色」といわれました。
茶色と鼠色は江戸の二大流行色。
この渋い色調の中で微妙な色の違いを出して、個性的な着こなしを楽しみました。
「四十八茶百鼠(しじゅうはつちゃひゃくねずみ)」
茶色が48色、鼠色が100色、それだけの微妙な色合いを江戸の染物屋は揃えていないと、商いにならなかったのですね。
当時着物はとても高価で贅沢品でした。
着物を新調するときは、好みの色や柄を呉服屋の見本帳から選びます。
四十八茶百鼠に加えて、呉服屋独自の色があったそうです。
何度も店と打ち合わせをして、オーダーメイドで作りました。
素材や色を何度も吟味して作る着物。
着物を新調するときは、さぞかしワクワクで、楽しかったでしょうね。