おはようございます。
「江戸切子」と「薩摩切子」について、今日もお話していきます。
江戸切子を作った職人の親戚が薩摩切子に携わったという、
いわば家内工業のように、親戚同士が日本の切子ガラスにかかわっていたというのは興味深いですね。
かたや江戸庶民の間で成長し、かたや薩摩の大名のもとで島津藩の産業の一つとして成長していったのです。
薩摩切子は、島津斉彬(なりあきら)の娘である篤姫のお嫁入り道具としても持参されたそうです。
「江戸切子」は法則性のある連続的な曲線模様(まるで江戸小紋の文様のような)を、
「薩摩切子」は色ガラスを幾層にも重ねた色被せ(いろきせ)の分厚い層を生かしたぼかし加工や繊細な直線模様を、
それぞれ特徴としています。
「薩摩切子」が薩英戦争などで一時途絶えて、1985年に復刻されたのに対して、
「江戸切子」は第二次大戦で東京の江東区の工場では壊滅的な被害に遭いながらも、
生き残った職人さんたちがHOYAなどを中心にガラス工芸を復活させたという歴史があります。
それぞれ歴史の中で技術をつないできたという努力があったおかげで現在まで
こうして作られてきたのですね。
更に、1881年(明治14)にイギリスの技師ホープトマンの技術指導で現代の技法が確立され、
ガラスが強固になったということです。
江戸切子の技の炎を消さないで受け継いできた努力、
薩摩切子の一度途絶えた技を復刻させた根気強さ、
日本人の職人気質が支えて、今日まであるわけですね。
江戸切子の模様は、イギリスやアイルランドからきたという魚子(ななこ)や、
日本らしい、まるで着物の柄のような麻の葉、菊、格子、花弁などがあります。
デザインも西洋のものと融合しているのですね。
どうぞ手に取って模様もながめてみてください。
日本のガラスの歴史を感じることができると思います。
本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。
今宵もガラス器で冷たい一口を味わってくださいね。
佳き一日をお過ごしくださいませ。
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