三方よし〜感謝の心

江戸時代初期、江戸の経済を支えていたのは近江と伊勢出身の商人たちでした。

近江商人の活動理念を象徴的に表した、

「三方(さんぽう)よし」という言葉がありますね。

「売り手よし、買い手よし、世間よし 」

 

これは、滋賀大学の小倉栄一郎教授の造語で、『近江商人の経営』の中で書いた言葉です。

原典は、現滋賀県五個荘町の麻布商、中村治兵衛が70歳の時に養嗣子の宗次郎に

あてた家訓『宗次郎幼主書置』にあります。

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商人として栄え、長続きしていくためには、

まずお客様に喜んでいただく品物を提供すること、

そしていたずらに大儲けをしようなどと考えてはいけない、

お天道さまの恵みのおかげという感謝の気持ちとお客様に喜んでいただこうという

気持ちが大切だ、

そうすれば、世間の皆様も応援してくださるに違いない。
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みな仏の化身、みな生かされているという考えのもとで、

互いの商売繁盛を願い、支え合い、分かち合う生き方をした江戸商人の考え方と

相通ずるものがありますね。

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ともすれば、マネーゲームに走るようなビジネスもありの現代です。

お天道さまに見守られ感謝しながら、人と人との触れ合い、温もりを大切にして、

「おかげさま」のこころで商いをしていくという価値観には、ほっとするものがありますね。
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今、中村治兵衛が子どもに書き残した家訓は企業経営の理念だけではなく、

何ごとにも通じるものがありますね。

「おかげさま」

その原点を再考する必要があるように思います。

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